内容説明
山が好きで、会社勤めをしながら国内の様々な山に登っていた淳子。「エベレスト?女なんかに登れるもんか」その言葉に奮起し、彼女は女性だけの隊で世界最高峰を目指す。苦しい資金繰り、寝る暇もない膨大な準備、隊員同士の軋轢を乗り越え、8848メートルの頂きに立った淳子の胸に去来したのは…。登山家・田部井淳子さんの挑戦を完全小説化。
著者等紹介
唯川恵[ユイカワケイ]
1955年金沢市生まれ。金沢女子短期大学を卒業後、銀行勤務を経て作家に。2002年『肩ごしの恋人』で第一二六回直木賞、08年『愛に似たもの』で第二一回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
120
2019/8/11 喜久屋書店北神戸店にて購入。 2023/1/21〜1/30 田部井淳子さんをモデルにした小説。子供の頃から女性初のエベレスト登頂まで。あの偉業の裏には色々あったんだなぁ。山を愛し、ひたすらポジティブに生きた田部井さん。見習わないと。2023/01/30
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
95
登山家田部井淳子さんをモデルにした小説。男中心の山の世界で女性ばかりの登山隊を結成し、アンナプルナのバリエーションルートや女性として初めて登頂したエベレスト。成功の影には彼女を支えたパートナーの存在も大きい。それにしても当時二か月もかけて極地法で登ったエベレストも今ではアルパインスタイルでBCからたった26時間で登頂という記録もある。時代も大きく変わっているのを感じた。★★★★2019/12/10
あすなろ
94
世界のてっぺんとは何か?エベレストか?多少のネタバレを許して頂けるのであればそれは自らの家。それは物理的な高さを競う山々には決して追いつけぬ高み。そう唯川氏は描く。実話を元に描かれた小説であるが新春に力を貰った。彼女の姉は言う。女だって男に負けないことを証明しようとしている。これも確かに大きなこの小説のテーマ。また、本質は彼女の夫が言う、人が集まれば必ずトラブルは起きるものということもまた一つのテーマ。そしてそれでも山に登り続ける淳子の様に読み手は心奪われ、計625頁を一気読みするのである。2020/01/06
goro@the_booby
81
生前のインタビューで田部井さんは遠征隊について話せない、墓場まで持っていく事があると仰ってました。ここで描かれている以上の諍いがあったのでしょう。全員が山頂に立てるわけではない登山方法、極地の非情さなのかなと思います。それにしても女性だけで成し遂げたものです。旦那さんが偉いわ!淳子のてっぺんはここだったんだね。遠征隊が記した「アンナプルナー女たちの戦い7577m」を読みたいんだけど、どなたかお持ちじゃないでしょうか?ぜひ復刻して欲しい。2019/11/12
大阪魂
76
唯川さん初読み!たぶん唯川さんには珍しい山岳小説!世界ではじめて女性でエベレストに登らはった田部井淳子さんの小さい頃からエベレスト登攀までを綴らはった感動のお話!まだ女性は家を守れ、山登りなんてありえへん、ってゆわれてた時代に、女性だけでヒマラヤのアンナプルナ、そしてエベレスト初登頂を実現しはったんやもんね!お金の問題も大変やし、隊の中で登頂する人選ぶ問題とか読んでてほんま壮絶!結局ええとこどりしてく淳子さんも都合よすぎやんって思たけどそうとちごたら偉業実現せえへんかったやろな…夫・正之さんがほんま最高!2022/02/26
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