内容説明
見合いの席で一目惚れ、没落華族の元に嫁いだ、豪商の娘・菊乃。しかしそこは地獄だった。妾の存在、隠し子、財産横領、やっと授かった我が子の流産―。菊乃は、欲と快楽を貪る旧弊な家の中で、自立することを決意すると、高慢な女中頭に暇を出し、傾いた財政を立て直す。激動の明治に鮮やかに華開く女の一生。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。会社勤めをしながら松竹シナリオ研究所でドラマ脚本のプロット作成を手掛ける。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。13年、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務するかたわら執筆した『月下上海』で第二〇回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カーミン
34
作者初読み。大財閥の娘である菊乃は、見合いの席で一目ぼれした没落伯爵家に嫁ぐ。夢いっぱいで新しい生活に入った菊乃だが、夫の妾や隠し子の存在、部下たちによる財産の横領、我が子の流産などなどの難問が一度に押し寄せる。一度はボロボロに傷つき、実家へ戻ろうとするのだが、腐った旧弊な婚家で自立することを決意する。前半は面白かったけれど、後半はまた違うテイストで楽しめた。オンナはしたたかであるべきなのね……。2023/07/27
Nazolove
16
久々の読了。 やっぱりこのかたは)れドロドロ系の金持ち家族に巻き込まれる女を書かせるのにすげー似合ってるなーと思った。 やれ妾だの裏に他の女が絡んでる話あたりを書くあたりはこの方は上手すぎると思う。 でもそんな中でもたくましく生きる女性ってかっこいいけど、やっぱ全うな幸せを得られる、そんな女性でいてほしい(てゆうか女性いじめすぎな気がする(笑)) あと個人的にはこういう昔の時代でこんな恐ろしい家では私の場合は開始三ページ目で死んでるだろうなーなんて思った。(笑)2019/09/01
Aki
7
昼メロチックな感じ。菊乃さんの迫力に引きずられた。2019/01/22
いっこ
6
『月下上海』を読んだ時には、山口さんのこの系統の著作、「食堂のおばちゃん」シリーズとは全く別物のように思えたが、実は同じ視点で女性を描いているのだと感じた。菊乃が、人倫にもとる行為が当たり前のようなくらしに麻痺していくのではなく、自分を失わず立ち向かっていく様が恐ろしいほどにいさぎよい。2019/02/12
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2
「真実より大切なものが、人にはあるのです」…おぉー。菊乃さん、すげぇ。2018/12/26