内容説明
愛人の援助を受けセレブ気取りで暮らす千遥は、幼い頃から母の精神的虐待に痛めつけられてきた。一方、中学生のとき父を亡くした亜沙子は、母と二人助け合って暮らしてきた。千遙は公認会計士試験に受かった年下の恋人と、亜沙子は母の勧めるおとなしい男と結婚を決める。けれどその結婚が、それぞれの歪んだ母娘関係を暴走させていく。
著者等紹介
唯川恵[ユイカワケイ]
1955年金沢市生まれ。金沢女子短期大学を卒業後、銀行勤務などを経て作家に。2002年『肩ごしの恋人』で第一二六回直木賞、08年『愛に似たもの』で第二一回柴田錬三郎賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mmts(マミタス)
90
あらすじ。毒母に育てられた千遥と亜沙子は結婚をきっかけに更に母娘関係は悪化しました。愛人を抱える千遥だけど千遥に精神的な虐待を行いました。千遥はヒモだった功太郎にプロポーズされました。一方、亜沙子は母子家庭ゆえに母は過保護だし過干渉しました。亜沙子は母に無理矢理、見合いを強要されました。当然、母は千遥と亜沙子の結婚式や結婚生活にクレームを言いました。結局、千遥と亜沙子は毒母から逃げ切れるのかドキドキしました。感想。個人的には亜沙子が大っ嫌いでした。一挙手一投足が自己中心的でした。辛口コメントごめんなさい。2019/03/22
まこみん
85
2組の成人した娘とその母親の話。序盤では自分の物欲を満たす為に愛人の援助を受けながら、こっそり年下の彼とも付き合う千遥に嫌悪感。でもそれは幼い頃から母親の酷い言葉の虐待に苛まれた為。一方、母親と二人で生きてきた亜沙子は、都合良く理想化した母娘の日々を綴った、母のブログを見て違和感を感じるが、母の薦める相手との結婚を受け入れようとする。タイプの違った二人の毒母に対峙する其々の娘の思惑。ラストは亜沙子のあざとさが鼻に付き、千遥の母親のあの言葉に愕然。千遥に、早く毒親捨てて貴方がオスロに行きなさいって言いたい。2019/09/29
アッシュ姉
82
母に疎まれ罵倒され、虐げられて育った千遥は、母に褒められたい、認められたいと未だに切望している。父を早くに亡くし、母と二人三脚で支え合ってきた亜沙子は、母を悲しませてはいけない、喜ばせたいと日頃から思っている。そんな二人が結婚話を機に、母親との関係を見つめ直していく。母娘に限らず家族というものは、愛や情、責任や義務などで悪く言えば縛られ、良く言えば繋がっている。束縛と捉えるか、愛情と受けとめるか。本書はさらに根が深く、呪縛または依存から脱却するため、母を棄てるか、自分を棄てるかの選択を迫られる。→2019/03/04
佳蓮★道央民
66
★★★あまり良い本ではなかったかな。どっちかというと、闇が深くて、ドロドロとした母娘関係の本で、どす黒いなぁって思いました。母親の依存ってやっぱり、どの家庭にもあるんだなって思いました。やっぱり、母親が先に死ぬのは分かってるし、子供はどんどんそれに比べて成長していくものだし、でも、依存し過ぎは良くないなって思いました。私も、実家で暮らしていたけど、今は彼氏と同棲して、やっと分かったけど、自分も母親も共依存していたなって実感しました。離れたらやっぱり母娘関係って変わっていくものなんですね。再読はしないかな。2021/07/22
あっ!chan
56
「娘は、母親を一度は殺さなければならない」解説冒頭の一文だが、まさにこの作品を一言で言い得てると思う。小さいころから母親から無視され疎まれ、逆に母親に憎しみさえ覚える娘と、母一人子一人で育って社会人になっても過剰な愛情から抜けられない娘、タイプの違う二組の母娘の物語。結婚話がお互いの関係を大きく変えるはずだったが...出した結論は大きく異なったがはたして幸せが訪れるのか?多分あるあるの男にわからないリアルな母娘の世界がここにある。2020/07/12




