内容説明
作家の桜川詩子は、醜い容姿がコンプレックス。それなのに、デブスな春海さくらは男達を手玉に取って、女神扱い。さくらを題材に小説を書くため詩子は、彼女の友人、母親など四人の女を取材するが―。“どうしてあんな女に私が負けるのか”。一人の醜女に人生を狂わされた女達の怒りと焦りが決壊する時、この世で最も醜い女の戦いが始まる。
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
2010年「花祀り」にて第一回団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。その後、京都を舞台に五人の女の業を描いた『女の庭』が話題に。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
176
花房 観音は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者は、文庫オリジナルが多いので、本書は新作だとばかり思っていましたが、旧作「黄泉醜女」の改題文庫でした。幻冬舎に騙されました。よってアメリカ的に幻冬舎に多額の損害賠償1億$(他作品予約機会の喪失&再読時間ロス&慰謝料)を求めたいと思います(笑)【読メエロ部】2018/10/02
りゅう☆
104
連続殺人犯のさくら。男に貢がせ快楽を与える。なぜ世間が騒ぐのか。それは彼女が醜女だから。デブスで腋毛脛毛が剛毛。なぜこんな女に男たちは魅了され殺されたのか?フリーライターアミが官能作家桜川にノンフィクションを依頼。そしてさくらと関わりのあった女性たちに取材。男社会を生き抜いた女社長、高校時代の親友で今ではパート主婦、さくらに殺された男の姉、さくらの母。アミがこれほどまでにさくらに執着した理由とは?どうしてあんな女に私が…。悪意、嫉妬、自尊心が女の心を狂わせ、感情の渦がドロドロと渦巻く。終章の桜川は怖いよ。2021/05/12
じいじ
102
こよなく花房小説が好きで読んできた、27冊目。今作は極端に好みが二分する作品だと思う。もし、作者名を伏せて、これを読んだら中途で投げ出しただろう。とにかく陰湿で読み心地がよくないのだ。連続不審死事件として、世間を騒がせた木嶋佳苗事件をモチーフにした連作構成。女目線で「強い女」たちが切切と描かれる。「男性は弱い生き物だから、威嚇もするし虚勢も張る」と手厳しい。同性の女性への鋭いツッコミは、今作とくに目についた。女の女への嫉妬・優越感について、手を替え品を替えて赤裸々に語る、鋭い観音節は小気味よかった。2019/05/23
ふじさん
94
官能作家の桜川詩子は、デブスで男たちを手玉に取って女神扱いを受ける春海さくらを小説化するために、彼女と関りを持った女たちを取材することになる。取材で出会ったのは、自分より醜いのに、次々と男たちを手玉にとり「オンナ」を武器に華麗に生きて見せた春海さくらについて語る、意地悪で悪意に満ち、傲慢で人を馬鹿にする嫌な女たちだった。首都圏連続不審死事件をモチーフに描かれた作品だが、春海さくらよりは、関りがあった女の胸の内に焦点が当てられ、女の嫉妬心が全編に色濃く描かれており、読んでいて辛いものがあった。 2022/04/22
pukupuku
61
たまに読んでみたくなる花房作品。少し読んでみると,おやおや既視感。そっかぁ,花房さんが木嶋佳苗事件を料理すると,こんふうになるのね。嫉妬には,恐ろしい闇が潜んでいる。2019/02/13