内容説明
昭和一九年一〇月にフィリピンで始まった特攻は、その後の沖縄戦で戦いの中心となり、やがて全軍特攻へ。四五〇〇人を超える若者が命を落とした。特攻はなぜ、どのような経緯で終戦まで一年近くも続いたのか。軍中枢の思惑やメディアが果たした役割など、特攻拡大の背景を機密資料と証言をもとに検証。話題の「NHKスペシャル」に大幅加筆。
目次
第1章 火柱
第2章 熱狂
第3章 密室
第4章 沈黙
第5章 X参謀
エピローグ それぞれの「道」
著者等紹介
大島隆之[オオシマタカユキ]
1979年、東京都生まれ。東京大学文学部歴史文化学科卒業。2002年よりNHKエンタープライズ・ディレクター。戦争や災害をテーマとしたドキュメンタリー番組を中心に制作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
12
個々の隊員の内面のみならず、特攻の持った戦略的な意味(いかに戦争を終わらせるか)と戦術的な意味(いかに戦果を上げるか)にも焦点を合わせた多面的な内容。この構想力と取材力は流石にNHKと思う。特攻の戦果を算定するため、軍の上層部が使っていた計算式の存在も初めて知った。文字通りの図上計算にすぎない代物で、こんなものに頼って作戦を進めていたというのは驚く他ない。2023/08/19
のっち
12
人命よりも国家を優先した時代、だからこそ特攻が成り立つのか?特攻を始めた中将言わく「特攻を始めたのは天皇陛下に終戦を決断してもらうため」だそうだが、天皇陛下に対してどこまで正確に戦争の状況が伝わっていたのか疑問に思います。2019/01/25
いりあ
11
2015年8月8日にNHK総合で放送された「NHKスペシャル 特攻~なぜ拡大したのか~」のディレクター 大島隆之氏が取材時の資料をもとに番組内容を書籍化しています。1944年10月にフィリピン戦に始まり1945年8月の玉音放送まで約1年続いた「特攻」について関係者の証言を中心に検証しています。戦後70年以上が過ぎ、残念ながら鬼籍に入られる方が多い中、少しでも関係者の言葉が残されるのはとても意味のあることだと思います。ここからどんな内容であれ意義を見出すのは我々に残された課題だと思います。2019/02/03
tecchan
1
4500人を超える若者を死なせた特攻隊とはなんだっのか。なぜ,止められなかったのか。どんな本を読んでも明確な回答が得られない。本書で著者が最後に言っている言葉が重い。「特攻隊員達の気高い精神は、結果的にこの国の人びとを誤った方向に導いてしまった。」 2024/02/02
お惣菜パン(Tobe)
0
★★★★線を引かなかった頁がなかったのではないか、と思えるほどだった2023/09/12
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