内容説明
地方のキャバクラで働く愛菜は、同級生のユキオと再会。ユキオは意気投合した学と共にストリートアートに夢中だ。三人は、一ヶ月前から行方不明になっている安曇春子を、グラフィティを使って遊び半分で捜し始める。男性を襲う謎のグループ、通称“少女ギャング団”も横行する街で、彼女はどこに消えたのか?現代女性の心を勇気づける快作。
著者等紹介
山内マリコ[ヤマウチマリコ]
1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業後、京都でのライター生活を経て上京。2008年「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞。12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
450
ジャケットとタイトルに魅かれて購入。結果はと言えば、最も良かったのが表紙の写真。写真家(?)のKaisa Kaerはエストニア出身の女性らしい。古い写真かと思ったら、そうではないようだ。2番目に良かったのはタイトル。デビュー作の『ここは退屈…』に似たネーミングと、やはり退屈なCountrysideを舞台に描かれた小説世界だ。スピード感と倦怠感の表出は一応は評価できるが、冒頭と末尾の少女ギャング団は、アイディアはともかく十分に機能しているとは思えなかった。アズミ・ハルコの処理もいささか雑な気がする。2019/02/23
ケンイチミズバ
81
どこにも行くところがない、他に。セクハラまがいのことしか言わない社長と専務。 低賃金、あきらめて達観してる先輩。ある日、経理を任されブラブラしてるだけの社長と専務が会社でいちばん働いている先輩よりも何倍も給料をもらっていることを知る。春子の日常と生き写しのOLが日本中にたくさんいるのだろうと思う。ふら~っとどこかへ行ってしまいたくなる気持ちが私にもわかる。きっかけがちょっと肩を押してくれたら行方不明の春子があふれかえるかもしれない。彼女が口にした沼だなという言葉で関係ないけどインスタント沼を思い出した。2016/12/22
Ikutan
65
山内さんのテンポのいい文章は読みやすい。舞台は『ここは退屈迎えに来て』と同じ地方都市。閉塞感の中、何かやりたいとは思いながらも、がむしゃらになるような情熱もなく、くすぶり続ける若者たち。そのエネルギーをストリートアートに注ぐユキオと学。そして何にも考えずに思いのまま行動してしまう愛菜。軽~い三人に大人目線で色々心配してしまうのですが、お話は意外な方へ。タイトルのアズミハルコはこういう絡みになってくるのね。謎の少女ギャング団が不思議な役割を果たしている。やっぱり女は逞しいね。蒼井優さん主役の映画も面白そう。2016/01/12
巨峰
59
意外な展開で結構面白かった。つながったりはなれたり。幽霊みたいにふわふわと、だけど足はしっかり平成日本についているという。山内マリコさん、なかなかいいじゃん。他のも読んでみよう2016/08/11
エドワード
50
ファスト風土に生きるワカモノを描く第二弾。構成が凝っている。いきなり行方不明のアズミハルコ。県内でマイルドヤンキーしている連中の面白半分の落書きがラインやツィッターで拡散する様を見せた後、一年前の安曇春子のOL生活に遡る。四人しかいない会社のキレモノ姉貴とオヤジ二人の描写が痛いけど笑わせる。最終章で描かれるまちづくりアートイベントの訳わからなさがリアル過ぎてお腹が痛いよ。山内さん、ホントよく時の流れを見てるよね。蒼井優ちゃんで映画化だそうですが、不愛想なハルコを期待します。津川を誰が演じるのかも楽しみ。2015/11/09