内容説明
どうしたら小説が書けるの?アイデアはどこから生まれてくるの?プロの作家に必要なことは?―ミステリーの最前線で活躍する作家が、独自の執筆ノウハウや舞台裏を余すところなく開陳した豪華な一冊。日本推理作家協会に所属する現役作家たちが答えた貴重なアンケートも収録。作家志望者のみならず、すべてのミステリーファン必読の書。
目次
第1章 ミステリーとは(はじめに人ありき 福井晴敏;ミステリーを使う視点 天童荒太 ほか)
第2章 ミステリーを書く前に(オリジナリティがあるアイデアの探し方 東野圭吾;どうしても書かなければ、と思うとき 法月綸太郎 ほか)
第3章 ミステリーを書く(プロットの作り方 宮部みゆき;プロットの作り方 乙一 ほか)
第4章 ミステリーをより面白くする(書き出しで読者を掴め! 伊坂幸太郎;手がかりの埋め方 赤川次郎 ほか)
第5章 ミステリー作家として(シリーズの書き方 大沢在昌;連作ミステリの私的方法論 北森鴻 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
127
100の作家があれば100通りの創作作法あり。ミステリ・エンタテインメント作家43名による創作の秘訣が開陳される。しかしどの作家も異口同音に作家になることを勧めてはいない。寧ろ作家になることの苦しさのみが切々と語られている。そういう意味で本書の題名は実にいやらしい。これを読めば誰もが簡単にミステリーが書けると勘違いするからだ。述べられているのは確かに「ミステリーの書き方」だが、作家になる方法ではない。ある作家も次のように述べている「『ミステリーの書き方』のようなHow To本は当てにしてはならない」と。 2017/09/01
geshi
37
ミステリの書き方を現役作家が伝える、かなり実践向きのハウツー本。産みの苦しみや経済面のリアルな話もプロだから必要。それを乗り越えても書き続けたいと思える人が作家になれているのだとすれば、作家は職業というより業に近いものと思わされる。乙一氏のプロット作りや北方謙三氏の削った文体、綾辻行人氏・我孫子武丸氏のトリック論などミステリを読む上でも勉強になる。大沢在昌氏と北上次郎氏の新宿鮫シリーズへの考え方の違いから作者と読者の認識の違いが浮き彫りになるのが興味深い。2016/01/23
ばんだねいっぺい
36
実際に書く書かないではなく、ミステリーファンとして好きな作家の秘密にふれる読みごたえのある一冊だ。個人的には、綾辻さんや大沢さんに差し込みを感じたが、それにしても、皆さん、その努力たるや素晴らしい。尊敬しかない。2023/08/14
ねこまんま
35
小説を書きたいと思ったことはないけれど、作家はどんなことを考えながら書いているのかな?という興味で読んだ。未読の方や、失礼ながらお名前も存じ上げない作家さんの名前もあり、こんな中で売れてる人は改めてすごいと思う。作家目線で再読したい作品が多々出てきて、ホント困っちゃうわ。読み物として非常に面白かったので、書くことに興味のない方でも楽しめるんじゃないでしょうか。2017/08/17
JACK
33
☆ プロの作家に聞いたノウハウや舞台裏を集めた本。東野圭吾のアイディアの探し方、船戸与一の冒険小説の取材方法、宮部みゆきのプロットの作り方、北村薫の語り手の設定、北方謙三の文体、綾辻行人のトリック、折原一の叙述トリック、大沢在昌のシリーズの書き方など、惹きつけられるテーマばかり。他にも名言が多数。小説はもっとも容量の大きなメディア。ミステリーは人工性の上に成り立つ。言葉を信じる事。言葉はあなたが行けるところよりもっと先まで行けるのです。悪あがきをした連中の生き残りがプロ作家…。ミステリー好きなら必読です。2018/12/19