内容説明
現代日本の社会通念を挑発する作風で絶大な支持を受ける天才美術家、会田誠。奇抜な発想の裏にあるアーティストの日常と思考とは?なぜかCM俳優となった中国での出来事、ジャージだけで過ごした藝大時代の狙い、美術家を目指す若者へのアドバイス―。遺書を残すかのように自らの細部までさらけ出した名文の数々。笑えて深いエッセイ集。
目次
「まずは『星星峡』連載のエッセイを…」(北京でCM俳優をやった件;僕のみみっちい「ユリイカ!」 ほか)
「次に色々な雑誌に書いたものを…」(大いなるイラスト;もっとラディカルであれ ほか)
「ウェブ連載『昭和40年会の東京案内』より…」(中央線が、嫌いだった;東京のアート? ほか)
「最後にオマケとして、僕の初連載エッセイ“VinTa!”の『れっつ!ネガティブシンキング』を…」(情熱について;オマエは大学には行くな! ほか)
著者等紹介
会田誠[アイダマコト]
美術家。1965年新潟県生まれ。91年東京藝術大学大学院美術研究科修了。絵画、写真、映像、立体、パフォーマンス、インスタレーション、小説、漫画など表現領域は多岐にわたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zirou1984
38
現代美術家・会田誠のエッセイ集第二弾。人を食ったようなタイトルと文体は相変わらずだが、主戦場である著者自身の作品や現代美術への言及になると途端饒舌で興味深い内容になるのが面白い。単純にネタが尽きたから仕事の話をしてるだけだと思うし、現代美術において自分の作品の背景を言語で説明するというのは安直以外の何物でもないのだけど、それでも著者はその愚直さをどこか誠実に引き受けようとしている気がするのだ。だからこそ、その作品には時に生理的嫌悪を感じながらも引きつけられてしまうのだろう。るの。Tシャツには思わず苦笑い。2016/02/03
ホークス
16
この人の絵画は緻密で不思議で露悪的な所も含めて好きだ。しかしこの本の解説にある通り、現代に絵を描くということは大変過酷なことの様だ。高い技能、高度な概念、誰でも享受できる面白さを同時に満たさなければならない。独特のニヒルさと攻撃性も、人間を嘘のない目で見ているからだ。孤独は避けられないし、ユートピアなどない。雑草的なものが排除された「嘘くさい花壇」みたいなものが好きじゃない、と言う所に腕白な自然児を感じる。取り澄まし屋を蹴っ飛ばし、日本伝統の空気依存もバッサリ。その奥にピュアな人間信頼が垣間見える。2015/11/28
Salsaru
9
とてつもなく馬鹿みたいなことが書いてあるかと思うと、至極真っ当なことを書いてあったり、やはりいいな。2015/08/16
abkbo
7
会田さんの文章を読むと世の中の常識って一体なんだろう?って考えてしまう。もちろんそれは彼の美術作品を観てもそう思うのだけれど文章のほうがよりストレートでダイレクトに理解できる。表現手法はエロくて露悪的なので、目をそらしたり軽んじてしまいがちだけれど、言ってることはまっとうだ。特に現代美術の存在意義に触れた「北京で憂国」なんかサイコーだ。彼のラジカルさは一般大衆の偏りを一人で是正するためにあそこまで突出しているのかもしれない。つくづく表現者とは因果な商売、もとい「存在」なのだなあとおもう。。2016/01/17
nariyomu
6
現代美術家の会田誠さんのエッセイ。「特殊な人」と思われがちな現代美術家が、日々をどう生きて、何を考えて作品を作っているのかが垣間見えて面白い。美術家は人間性が特殊なわけではなく、感受性と表現力が特殊なだけなんだな。表紙になっている「灰色の山」という、サラリーマンの死体が積み上がった絵は、自分がとても好きな小泉八雲の「破片」という話を具現化したもののように思えて、そこまでネガティブな印象を持たなかった。2016/03/19