内容説明
「歴史」や「国民国家」のような「大きな物語」(ビッグ・ブラザー)で自分の生を意味づけることができなくなった今。誰もが「小さな父」(リトル・ピープル)としてフラットに蠢くこの世界を、僕たちはどう捉え、どう生きるのか。「村上春樹」「仮面ライダー」「震災」を手がかりに、戦後日本の変貌とこれからを大胆かつ緻密に描き出した現代社会論の名著。
目次
序章 「壁と卵」をめぐって―3・11から考える
第1章 ビッグ・ブラザーからリトル・ピープルへ(村上春樹という特異点;機能の言葉;ビッグ・ブラザーからリトル・ピープルへ ほか)
第2章 ヒーローと公共性(ヒーローという回路;怪獣たちの“戦後”;1971年のヒーローショー ほか)
第3章 拡張現実の時代(「12歳の少年」から「つながりの社会性」へ;キャラクターの透明度;コミュニケーションという疑似自然 ほか)
終章 石巻のリトル・ピープル
著者等紹介
宇野常寛[ウノツネヒロ]
1978年生まれ。評論家。批評誌「PLANETS」編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
安南
48
オーウェルの『1984』から《ビッグブラザー》を、村上春樹『1Q84』から《リトルピープル》をキーワードにウルトラマン、仮面ライダー、ガンダム、バットマン、AKB48などサブカルチャー、ポップカルチャーを徹底的に分析することにより現代社会を読み解く試み。村上春樹も仮面ライダーも殆ど興味を持つことはなかったが、これはそんな私でも550頁を夢中で読み通させる力ある論考だ。感動的ですらある。村上春樹を読んできた人、仮面ライダーオタクな人なら存分に楽しめるだろう。是非読んでもらって、感想を聞いてみたい。2015/04/27
ころこ
46
文章が格段に上手くなっていることに驚きます。それぞれの議論はこれ以上にない位に明快で、その議論同士の接続と全体の構図も破綻なく、村上春樹を批判的に論じている前半3分の1は秀逸です。問題はその後の3分の2の展開をどう評価するかです。ビック・ブラザー(大きな物語)無きリトル・ピープルの時代(小さな物語)にあって、村上はデタッチメントからコミットメントに移行する。それは良き父になろうとするロマンティックな自己実現として物語られるが、そこで生じたのは女性の犠牲の上に成り立っている「レイプ・ファンタジィ」だったこと2021/11/17
vinlandmbit
43
相当なボリューム感。。一度では理解しきれなかった所が多々あったので再読予定。核となる「ビッグブラザーの時代」「ビッグブラザーの解体期」「リトルピープルの時代」の観点での比較については面白い切り口であり腑に落ちる点多くありました。2019/09/08
hanchyan@つまりはそういうことだ
27
♪ユワナ・リーライ〜ズ描いた未来〜図・ブチ抜いて〜行けるのは〜ユアディオンリーワ〜ン♪ というわけで。やー。もんっっのすご〜~く面白かった!!!2022/09/15
林 一歩
22
ヒーローと公共性における911以降の「正義」に係る考察は秀逸。平成仮面ライダーは当然ながら未見だが、アギトと龍騎は見なくてはと、本気で思った。また、村上春樹に対する通底悪意には苦笑。国内の批評家で氏に好意を持つ方はいないのかしら。2015/07/05
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