内容説明
人にやさしくするのは、ドラマほど簡単じゃない。その気づかいは善意?それとも悪意?心理サスペンスの大傑作!
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪市生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年「凍える島」で鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2008年「サクリファイス」で大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
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高校時代の友達の『一週間でいいの。鈴音の家に泊めてほしいの』という頼みを断れなかったその先に、そんな友達と子どもと暮らすことになった主人公・鈴音の内面を細やかに描写していくこの作品。そこには”心理サスペンスの大傑作”ともうたわれる悶々とした物語が描かれていました。『線引きの基準』の中で、自らの立ち位置が揺らいでくるのも感じるこの作品。象徴的に使われる『歯ブラシ』の説得力になるほどと思うこの作品。人の『線引きの基準』の違いによって、見えている世界が変化する。作品の目の付け所の凄さに驚く素晴らしい作品でした。2023/04/24
Yunemo
196
「10年の後」に、改めて当時を振り返ってみる。確かにそんなことが自身にもありました。だからと言って本書に関係はないのですが。切羽詰まった時の良心のあり方を問われてみても、そうそう答えが出るものではありません。一番扱いやすいと思われる人物を順繰りに頼っていく。そんな感じかもしれません。頼られた当人は、堂々巡りの輪の中に嵌ってもがくだけ。こうした時の、冷静さを持った信頼に足る人物の眼、意見は的を得ている、これも全く場違いの外周から見ているせいかも。どうもやりきれない息苦しさが最後まで残って読了でした。2014/11/16
🐾Yoko Omoto🐾
166
もう10年も会っていない高校時代の同級生「水絵」が、住まいと職に困り子連れで「鈴音」を頼ってきた。「暫く家においてほしい」という頼みを無下に断ることも出来ず一週間の期限付きで承諾したが、彼女との考え方の違いや態度に次第に苛立ちが募っていく。水絵の「申し訳ない」という言葉の裏に見え隠れするしたたかさと非常識さや自分への甘さに終始腹が立ちっぱなしだった。歯ブラシの一件にすべてが凝縮されているといっても過言ではない。そんな彼女へ最終的に強く出ることの出来ない鈴音のお人好しぶりは理解できるのだが歯痒かった。→2014/10/21
takaC
147
水絵にイライラする。鈴音にもイラっとする。2016/01/24
JKD
145
なし崩し的に始まった旧友との同居生活。「歯ブラシ返すね」という序盤のセリフにゾワッとした。ちょっとした価値観の違いから生まれてくる違和感が不快感になりジワジワと積もっていく過程がリアルに怖い。ラストは爽やかに終わってるけど、やっぱり水絵の図々しさは強烈でした。2017/12/03