内容説明
「日本人」が考える「日本人」のイメージはすべて間違っている。それはすべて西欧社会が作ったものだからだ。「日本人的なもの」とは、よくいわれる“世間”(ムラ社会)ではなく、“世俗”(神を信じずに功利的に生きる)の方にある。実は西欧人以上に日本人は、合理的な考え方を好む民族なのだ。従来の論をすべて覆した全く新しい日本人論!
目次
ほほえみの国
1 LOCAL(武士道とエヴァンゲリオン;「日本人」というオリエンタリズム;「愛の不毛」を進化論で説明する;「水」から見た日本論)
2 GLOBAL(グローバリズムはユートピア思想である;紀元前のグローバリズム;「正義」をめぐる哲学;アメリカニズムとはなにか?;原発事故と皇太子狙撃事件;フクシマの空虚な中心;ぼくたちの失敗・政治編;ぼくたちの失敗・経済編)
3 UTOPIA(「大いなる停滞」の時代;ハシズムとネオリベ;電脳空間の評判経済;自由のユートピアへ)
著者等紹介
橘玲[タチバナアキラ]
1959年生まれ。作家。早稲田大学卒業。2002年、小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。06年、『永遠の旅行者』が第十九回山本周五郎賞候補作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
42
日本人論の検証から入り、いつものように(笑)グローバルな論調へ移っていく。「世界価値観調査」での日本人の平均的な人生目標から導き出される姿は、近隣諸国や米国よりも個人主義的な姿だ。確かに自分の考えに照らし合わせても得心がいく。一人暮らしとワンルームがローカルルールだったのだ。無限責任=無責任ということを、福島原発事故を例に分かりやすく伝えている。日本の政治・行政がこの無責任体質というのは衝撃的だ。東浩紀氏の解説も良かった。2020/03/22
ちさと
25
無思想で世俗的、反権威主義的で身勝手な日本人は、ユートピア(橘さんの推している自由原理主義)の建設に向いている。日本人の特性は西洋人によるオリエンタリズムが生み出したもので、それを日本人が輸入した相互参照だという話はおもしろいな。ただ内容が全体的にリベラリズムと接続しすぎていて飽きてしまいました。巻末の東さんの解説が、読者が持つであろう疑問を的確にあげてくれていてとても良かったです。2018/09/02
uD
21
橘さんは断定的な表現が多いです。 自分の主張に都合のいいように解釈して、書いている(いわば決めつけ)の部分もあるように思います。 がしかし、それを承知の上で、本書は素晴らしい内容だと感じました! というか、解説者の指摘が鋭すぎるので、ここで僕がピーチクパーチク言う必要もないでしょう。(いやそれは常に、か…) 「なるほど、そんな考え方もあるのか!」 と、学んだことは数多いですが、メモはあえて3点に絞ります。 ・能力主義は道徳的に正しい ・考えるべきことはすでに誰かが考えている ・他人と違うは傲慢さの裏返し2018/09/26
太田青磁
21
日本人というよりは、比較文化論なのかも。扱っている素材が大き過ぎて掴みきれず。2014/09/07
かず
18
★★★★Audible。再読予定。2023/10/01