内容説明
ヨーロッパを巡業中の曲芸一座で、敏腕の番頭として名高い孝介と料理上手の新入り・晴彦。裕福な贔屓客から頼まれ、ストーカー退治や盗難事件の解決など厄介事の始末に奔走する日々を送っていた。華やかなパリで生きる人々の心の謎を解き明かすうちに、二人は危険な計画に巻きこまれていく。人の温もりと儚さがラストを彩る連作短編ミステリ。
著者等紹介
三木笙子[ミキショウコ]
1975年秋田県生まれ。第二回ミステリーズ!新人賞の最終候補作を改稿し連作化した『人魚は空に還る』で2008年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
100
はじめまして、なのに、懐かしい。いつだって、巴里は新しくて、古い街。何かが見つかる。辿り着く事も、目的の一つになる。ようこそ、懐かし色の花の都へ。クラークとは番頭さんの事だそう。番頭の孝介さんが探偵をする話だから、クラ-ク巴里探偵録なのでしょうね。だけど私には孝介さんと晴彦の苦楽を共にするから来てるのかなーとか、ちょっと思ったりしてました。最初から嘘と圧力で作られた二人の関係は、トロンプイユの様な幻の絆なのかもしれない。でも、トロンプイユを一緒に見た事、笑った事、そしてそれを描いた事は紛れもない事実なんだ2015/12/13
えりっち
79
「えっ?晴彦が孝介の側に居たのはそんな理由の為?(゜ロ゜;ノ)ノ」と突っ込みを入れたくなりました。仕事人っぽい高瀬さんが考えた案がそれ?何だか安易過ぎる❗と思いつつ、孝介と晴彦の心の距離が縮まっていく過程を楽しく読めました。2016/01/07
藤月はな(灯れ松明の火)
63
ある思惑を秘めて曲芸一座の番頭、孝介といるハルこと晴彦。自分を信頼してくれる孝介に対して思惑を秘めている自分との距離を感じるハルが切ないです。そして仕掛け人でもある高瀬氏がなぜ、そうしなければならなかったのかという理由も。しかし、それが自分の打算やエゴであったとしてもそうしなければならなくなったまでの気持ちはひたすら、真摯だったことに変わりはなかったのだ。ただ、孝介とハルの関係にクローズアップしていた感が否めないので遠因となっているハルの弟のことが詳しく、知りたかったなと思います。2014/02/21
nyanco
56
大好きな三木笙子さんの作品、今回の舞台はパリ。時代や、ヨーロッパを巡業中の曲芸一座という設定、座長、番頭・孝介、新入り・晴彦と、メインのキャラも面白い。3人のキャラ、個々の設定も良く、特に孝介と晴彦の友情の描き方も良かった。曲芸一座が依頼された謎を解く、ポルターガイストと絵葉書の謎もなかなか面白かったです。ただ、残念ながらパリの香りが漂ってこなかった。地名は出てくるのですが、もっとパリの雰囲気が溢れる作品を期待してしまいました。続→2014/07/08
papako
54
電子書籍のセールで。明治の巴里で活躍する日本人の軽業師一座。そこの番頭孝介と拾われた男ハルが解く謎解き。と孝介を出し抜く悪巧み。うーん、大掛かりな仕掛けの割に尻すぼみな印象かな。面白くないわけではないけど。この作者の作品に出てくる人は基本いい人なので、大団円なのにパッとしない。ま、安心して読めるんですけどね。そしてBL臭が余計かしら。ま、軽く楽しめました。2018/09/26