内容説明
一九三七年、貧しい十七歳の淳花は従軍慰安婦にされた。同じ場所で、日本人兵士に無理矢理体を開かされた韓国人女性の中には、拒否した為に殴り殺される者、梅毒にかかり気がおかしくなる者、アヘンに溺れる者、自殺する者もいた。地獄で淳花は、死んだように生きていた。著者が現地に入り、元慰安婦への取材を経て描き上げた、悲劇の物語。
著者等紹介
梁石日[ヤンソギル]
1936年大阪府生まれ。『タクシー狂躁曲』でデビュー。「月はどっちに出ている」のタイトルで映画化され話題を呼ぶ。実父をモデルに描いた長篇小説『血と骨』は山本周五郎賞を受賞しベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
future4227
27
著者の作品を読むのは『闇の子供たち』に次いで2作目。今回も期待を外さず、衝撃度ナンバーワン。主人公は朝鮮人従軍慰安婦。もしこれが事実だとするならば、日本に対する韓国政府の執拗な追及も理解できなくない。そんな簡単に水に流せる話ではない。毎日100人もの日本兵にノンストップでレイプされ続け、監禁、暴力、朝鮮人差別、妊娠、性病感染、敵の爆撃に耐えながら8年も生き延びる。想像を絶する世界である。私たち日本人は両政府の見解を鵜呑みにせず、歴史的事実を慎重に検証していく必要があると思った。2014/07/31
ジーク
9
かなり衝撃的な内容です。でも、関心を持つこと、知ることが何かを変えていく力になると思い最後まで読みました。一番怖いのは「無関心」でいること…。マザーテレサの言葉を忘れずにいたいと思いました。2013/11/04
読書亀
8
騙されて日本兵の慰安婦にされた朝鮮人少女。こんなにもひどいとは・・。こんな事が行われていたとは。衝撃を受けた。少女たちの人権なんて全くない。慰安婦問題が収まらないのも当然だ。2025/04/11
Ayah Book
6
朝鮮人従軍慰安婦の物語。フィクションなのだが、梁石日さんの淡々とした文章から、鬼畜の所業が圧倒的リアリティをもって迫ってくる。これが事実かどうかなんてことよりも、起こり得たこととして教訓にするべき。戦争を繰り返さないようにするためにも、絶対に必要なことだ。2017/09/08
キクマル
6
日本鬼子…戦時中、中国人は日本軍を侮蔑の感情を込めて、そう呼んだようです。主人公の女性は朝鮮人ですが同じ感情を持っていたに違いありません。現代の日本人には辛い小説でしょうが目を背けては駄目だと思います。作者の創作だと書いてありますが入念な取材により完成した作品です。かなり作品の内容に近いことが現実にあったのではと考えられます。日本人はアジア諸国の人々に永遠に嫌われるのでしょうね…2014/09/13