内容説明
その昔、神と人が共に暮らす世界があった。ある日、雨の神に選ばれたばかりのシムが降らせた恵みの雨が、止まなくなってしまう。姉を心配し、彼女のもとへ向かった弟のリュイは、その原因がシムの恋にあることを知る。彼女は人間の若き細工師に一目惚れをしていた…。恋愛や友情が人間だけのものでなかった頃の、優しく切ない六つの連なる物語。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県美作市生まれ。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー』全六巻で小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カピバラ
27
ギリシャ神話をもとにしているのでしょうか。大神を「エロジジイ」とすっぱりと言うリュイに好感が持てました。一番よかったのは「シムチャッカの花」かな。今の季節(ジューンブライド)にもぴったりでした。死の神グドミアノも神様なのに人間臭くて面白かったです。2014/06/11
ぽんちゃん
14
こういう神話系の物語大好き。ギリシャ神話を思わせるエピソードが数多く登場して楽しかった。完全無欠な神々ではなく、嘆き、悲しみ、恋をし、怒り、喜ぶといった感情を持った神々だからこそ親しみを持てるのかもしれない。グドミアノと土蛙の話に感動、盗賊たちの晩餐は楽しげで好き。2015/08/06
あさらん
11
お気に入りのカピバラさんの感想から読んでみたいなと。初あさのあつこ。ギリシア神話に中華風やら色々なものが加わった感じの創作神話の児童文学と言えばいいのかな。死と嘆きの神グドアミノ様が魅入られそうな瞳をもつ美しい少年設定でいい!単行本はCLAMPが表紙イラストらしいので見てみたい。続編もあるそうなので読みたい。2014/06/21
からっぽな蛙《真梨江》
11
さらりとした文体で、けれど芳醇な、まさに叙事詩のような物語。タイトル通りにその世界でずっと微睡んでいたくなる。神と人と、そして“箜”が暮らすどこかの世界。そこでは神も人も鏡のように似たもの同士で密接に関わりあう。神は全能ではなく、人々は愚かなだけではない。神話が好きな人なら間違いなくうっとりする。なにより、序説が発掘のシーンから始まることに心が昂った。動植物の名前も素敵。光狐、花魚、紫桃酒、紅風鳥。舞台は中央アジアのイメージだろうか。死と嘆きを司るグドミアノが光や花々の神よりも美しいというのが気に入った。2014/01/28
やよひ
11
女性考古学者に発見された大量の羊皮紙の束。それは人間と神が共に生きていた頃の詳細な記録。有史以前に書かれた記録を何故彼女が読めたのか・・・は物語の終わりで明らかに。人がいて神がいて箜(くう)がいる。あらゆる場所に神がいる世界は神話みたい。悲恋や悲劇、友情などの話が6つ。『盗賊たちの晩餐』が好き。(箜とは神を親にもつ人間の子)2013/08/11
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- 和書
- 訓注 古月禅師四会語録