内容説明
夫の莫大な借金のため月一度の愛人契約をした36歳の千菜津。いつ寝室に誘われるかはらはらする人妻をただ鑑賞し、ようやく愛撫をしても焦らす跡部に、ついに千菜津は懇願する(「梅雨の花」)。他、「今日はもやもやする」と訴える、恩人の息子の無垢で美しい若妻と寝室で二人きりで過ごすことになった初老の男の困惑(「閨」)等、珠玉の官能短編集。
著者等紹介
藍川京[アイカワキョウ]
熊本県出身。福岡女子高校卒業後、現代文芸研究所の田端信氏に小説の指導を受ける。1989年、『卒業』(のちに『華宴』に改題)で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じいじ
100
時季を得たタイトルに惹かれて購入、しばらく積んであった。女流作家の官能小説は、花房観音に次いで二人目。七編の短篇集。この作家、観音さん同様、筋立てがしっかりしていて小説として面白さがあります。とりわけ、花を取り入れた情景描写が美しい。官能描写は、女流作家ならではの細やかさである。気品はあるが、かなりエロいです。京都・嵯峨嵐山、鎌倉、京都蛍ヶ池…、名所を舞台にしたオンナとオトコの情愛劇は愉しめました。この作家の長編を読んでみたくなりました。2018/07/04
コジターレ
8
女流作家による官能小説。風景の描写が美しく、花の名前に詳しければ、もっと楽しめたと思う。短編なので物足りなさがあるが、綺麗な文体は好きなので、いずれ他作品も読んでみたい。2017/11/04
ニコラス@ケンジ
1
まぁたまには官能小説でもと思ったけど普通にやっぱこの作家文章巧いと思う2013/12/13
ふじようこ
1
短編集の為か、すぐに読了です。綺麗な文章で、私なりに情景を思い浮かべながら読んでみました。他の作品も探して読んでみたいです。2013/09/07
クロサキ
0
女流作家の官能小説ということで手に取りました。咲き誇る四季の花々や、観光地などの美しい風景を織り交ぜ、その世界観が情緒的かつ丁寧に描かれています。主婦向け2時間ドラマのような印象でしょうか。ただ文章はあまり洗練されておらず、読点までの一文に同じ言い回しが繰り返し使われるなど、違和感を感じることが多々ありました。また、ヒロインの不可解な言動や古臭くセンスのない隠語の連発は、男性受けの白々しさが感じられて、少し残念に思っています。先の読めるストーリー展開が多かったですが、特殊な設定の作品は興味深く読めました。2017/05/04