内容説明
違法すれすれの手法でライバルを蹴散らし、本社経営陣に上り詰めた逢坂は「帝王」の名を恣にする。最後の勝負の相手は、メガバンクの常務執行役員におさまった桧垣力。だがその矢先、思わぬ病魔と「司令官」たちの離反が逢坂を襲う―。日本の「失われた二〇年」の時代に、苛烈なマネーゲームに血道を上げた男の衝撃の末路とは。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンス、貿易金融などを手がける。2000年、『トップ・レフト』で作家デビュー。早稲田大学時代には箱根駅伝に二回出場し、二〇キロで道路北海道記録を塗りかえた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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速読おやじ
14
久しぶりの黒木作品。一応投資プロフェッショナルのはしくれとしては、黒木作品は読んでいてヒリヒリする小説だ。まるで自分が主人公の逢坂氏、、ではなく(笑)逢坂氏の部下になったような気分がするからだ。こんな上司の元では働きたくないなあというパワハラ振りは凄いものがある。しかし、ここまでやりきる主人公には敬服の感しかない。実際の人物をモデルにしたり、本当に実名で出ている人がいたり、モデルとなった案件なども思い浮かべて読むと面白い。でも、この小説一般受けしたのかなあ。。2016/12/04
あっくん
12
舞台は2000年代に入り、エンロン事件やリーマンショック、村上ファンドの暗躍やライブドア事件、JAL再生といったリアルタイムで見聞きしていた実在の金融事件の裏側で己の野心を満たすために邁進する逢坂が描かれます。時折挟まれる美浦トレセンのエピソードが最後に繋がる構図は、筆者のお得意パターンだった。逢坂の最後はほぼ予想できたので驚かなかったが、唐突感は否めないかな…。念願だった復讐を果たした後の逢坂をもう少し見たかった。逢坂が蹴落としてきた面々が最後にチームとして結集し、逢坂と対決する構図も良かった。2021/10/24
ウルラニ
10
あまりにアグレッシブな投資、事業拡大が、悲劇を招く下巻。生き急いだとも、太く短くとも言える主人公が、実在の人物を元にしていると知り驚く。全て肯定は勿論できないが、このバイタリティと仕事に捧げる情熱には圧倒される。★★★★☆2016/03/16
Emkay
5
上巻と同様、一気に読まされた。雑誌やブログで拾った、主人公にまつわるエピソードを、(おそらく)追加取材して加味し、つなぎ合わせたのだろう。なのにこんなに読みやすいのは、著者が登場するM&Aやトレーディングの内容や仕組みの要点を理解していることが伝わってくることが一つ。もう一つは、主人公の行動を一貫したコンプレックスで説明しようとしている点。実際はもう少しプロ意識の高い人物なのではと想像するが、小説としては一定のけれん味を出せていると思う。2014/09/02
Hideki Ando
5
主人公の勝利への執念がものすごい。村上ファンドや堀江とか、実在の人物や実際の事件、明らかにわかるモデルといったもので、虚実織り混ぜた小説。当時の状況に詳しいか、週刊誌とかをおいながら読むと、更に楽しい。2013/08/25