内容説明
九十年代、地方都市「H市」。美少女アニメとゲームとマンガがちょっと好きな十八歳の「ぼく」は、トラックで職人を轢き殺そうとして工場をクビになり、はずみで新しくオープンするホストクラブで働くことになる。そこにいたのはホストとはかけ離れたシャブ中のチンピラ「シンさん」だった…。自身の経験を赤裸に描いた、自伝的青春小説。
著者等紹介
海猫沢めろん[ウミネコザワメロン]
高校卒業後、紆余曲折を経て上京。文筆業に。『左巻キ式ラストリゾート』でデビュー。『愛についての感じ』で第33回野間文芸新人賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
33
90年台の地方都市でアニメサブカルにのめり込む18才の主人公は、はずみでホストになった。そのホストクラブを仕切る、チンピラのシンさんはいつもヤクとシンナーに酔っていて…… 自伝的小説。この作家特有の切実感と時代の息遣い、地方都市の閉塞感、サブカルのキーワードの羅列は、うずくような痛みと甘さと苦さを感じさせる。浪花節や良い話が好きな人は読まなくてけっこう。この作家のファンならぜひ。2015/12/11
とら
19
もの凄い閉塞感。地方都市という舞台と、プラス時代もあったのだろうけど、これは当時の社会に出るくらいの年の若者にとっては辛い環境だと、客観的にみても感じる。しかしなんだ。これは自伝なのか。自伝なんてものを書くのは、今生きている自分に余裕があるという証拠でもあるので安心はするけれども、どんな人生を歩んできたんだという感想。文章からも伝わる、”臭い”…これは本物であると感じた。臭いの青春。…ロボットじゃないと耐えられないよなあ。少なくとも申し訳ない、信頼とかそういうのではなく、臭いの点において自分には無理だ…笑2018/01/29
miroku
17
まともな奴はおらんのかあ!2017/10/31
ユズル
17
本当に自伝的小説なんでしょうか? 全員が大小の差あれど狂ってる。はっきり言って小説、物語としてはちいとも面白くなかったのだけど、なんだろう、最後まで止められなかったです。シンさんが、なんか可哀想に思えた私も狂ってるのでしょうか?…(^^;)))2017/10/12
サイバーパンツ
16
90年代の地方都市、オタクとサブカルを拗らせた「ぼく」。彼はひょんなことからホストクラブで働くことになり、そこでシャブ中のチンピラであるシンさんと出会う。ぼくの思考回路は、ホストやヤンキーよりもオタクに基礎を置いており、その姿はまさに末期的厨二病。自分を神の使徒だと思い込んだり、人類滅亡カードにスタンプを押していくなど、妄想で現実逃避する姿や、固有名詞の羅列で自分を強く見せようとしている様が同族嫌悪的なところもありかなり痛々しいが、現実への絶望感や行き場のなさをオタクを通して上手く描いている。2017/12/17