内容説明
東京の公園で男の死体が発見された。捜査に当たった戸田刑事は、その数日前に被害者の地元で白骨体が発掘されていたことを知る。発見場所も、殺害時期も異なる二つの遺体。事件の関連性を疑う戸田は、遺留品から一人の男に辿り着く。勘と足だけを頼りに真実に迫るベテラン刑事と頭脳明晰な若き犯人。二人の緊迫の攻防戦を描いた傑作ミステリ。
著者等紹介
天野節子[アマノセツコ]
1946年千葉県生まれ。初めて執筆した小説『氷の華』は2006年自費出版からスタートした後、07年単行本として出版。その後、文庫化され三十五万部を超えるベストセラーとなる。ドラマ化もされ、六十歳の大型新人として注目を浴びた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ま~くん
36
400年前の徳川家康や秀忠の世に発生した大事件。メキシコへ向かう当時のスペインの巨大船が座礁。ある漁師町の人口を上回る程の漂着者を救出したところから物語は始まる。そして現代の東京。公園で発見された男の死体。戸田刑事は捜査の過程で被害者の地元で数十年前に遺棄されたと思われる白骨遺体が発見されていたことを突き止める。2つの事件に繋がりはあるのか。事件の遺留品からある人物が最重要容疑者として浮上。狡猾な犯人との頭脳戦。鉄壁のアリバイを追及する中で浮上してきた400年前の血脈。久々に読み応えのある1冊に出会えた。2023/06/11
ちょるる
32
千葉県の御宿町にメキシコ記念塔ー本当にあるんですね!知らなかった(;_;)。だから400年前のスベイン船の沈没の事故から、もしかしたら繋がっている殺人事件なのかも?と思うと、無理があるものの、なんだかロマンも感じられ面白く読了。「氷の華」の戸田刑事が再び登場したのも、良かった。2016/05/30
baba
32
災害という危機で別人になるという発想は「砂の器」や「白夜行」でおなじみですが、1609年千葉御宿でのスペイン船遭難の美談と隔世遺伝の悲劇を絡ませて話しをひろげての伏線は良かった。でも早々に気付いたしまったが、最後まで飽きさせずに読ませたのはさすが。2016/04/22
かよぴー
31
ある公園での殺人事件、同じ頃被害者の地元での白骨死体。二つの事件には繋がりがあるのか?ベテラン刑事が勘と足で事件を追って行く本格ミステリ。ジリジリと犯人を追うあたりは読んでて、一緒に推理してました。並行して進む400年前の話も面白かったので、無理に結びつけるより、単独で一つの話にした方が良かったのでは無いかと思います。2016/06/15
千穂
26
400年前のスペインの商船遭難。30年程前の他殺人骨。不動産屋の久保田縊死。一体どこでどう繋がる?と思いながら読み進めた。なかなか読み応えのある一冊。頭の切れるカメラマン鈴木太郎と刑事の応対も興味深く、長編にもかかわらず一気に読み終えた。満足!2017/02/19