内容説明
借金から逃れるため、東京に来たタクシードライバーの姜英吉。客の忘れ物の、宝石、麻薬、そして現金2300万円が入ったボストンバッグを手に入れたことから、彼の人生の転落は加速していく。己の欲望に突き動かされた人間達が群がり始め、互いに牽制し、欺きあう―。正気と狂気のはざまに存在する底なしの快楽を描いた、息もつかせぬ傑作長編。
著者等紹介
梁石日[ヤンソギル]
1936年大阪府生まれ。「血と骨」で第十一回山本周五郎賞受賞。同作品は映画化され絶賛を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミスターテリ―(飛雲)
35
主人公のタクシードライバー、借金を繰り返す英吉の将来を暗示するように、行きつけのスナックの横が墓場。集団自殺の女性を助けてから不思議なことが次々に、幽霊のように突然女性の姉が訪れ、誘惑に負け姉妹と関係を持ってしまう。ある日タクシーに忘れたボストンバック、大金と宝石、大麻、ヤバイとわかっているのにネコババ。当然のように、事件に巻き込まれ女たちにだまされ金を巻き上げられ、殺されかける。作者の描くダメ男を読むと、反対に清々しい、現実では経験することができない世界、まさしく小説を読む醍醐味で定期的に読みたくなる。2021/03/22
タカシ
7
タクシードライバーの姜は自殺女性を救ってから歯車が狂い始め…。姜は駄目な男ですね。小さい子供がいるんだからしっかりしろと言いたいですね。金のバックも女に言ってはダメですね。2018/09/07
m
3
家庭を顧みず、借金を繰り返し酒飲みで、そのくせ不倫相手には事欠かない自堕落男。一度はこんな人生を送ってみたいな、と思いつつ読み進めていく。つまり姜栄吉になりきって。ある日多額の現金が。普通なら現金以外は手を出さず、誰にも喋らず、家族を呼び寄せ堅実に暮らしました。と、考えるが、そこは姜栄吉。話は面白い方へ進んで行く。ボストンバッグの持ち主が急に現れたり、香港での失敗等々強引な展開も見られる。だから、フィクションとして面白いのだけれど。最後に家族と再会し再起を語るが、4ヶ月後も進歩無いだろうな。彼は。 2023/06/08
ふかきふき
2
☆☆ 腹立たしいほど、頭の悪い登場人物ばかり。どうせバカなら、金持って逃げれば良いのに。なんで一瞬でペラっと喋るかね。と、イライラしながら読了。2024/04/07
カミツレ
2
今まで読んだ本の中で、この本が一番「死と快楽」を感じる。いつもいつも、主人公と主要な人物が、その先には「死」もしくは「破滅」しかないような選択や生き方するのだ。しかもその目的は「快楽」「怠惰」で。もークズでダメでどうしようもない。クズさに比例した酷い破滅をしていくのかなあと目が離せない。直截に欲が描かれていて、飽きない。