内容説明
自殺した二十八歳の男性が「清掃してくださる方へ」と遺したお詫びの遺書。餓死して一週間、ミイラのように乾燥していた六十四歳の元左官職人。死後一カ月の、独身の若き経営者に寄り添うように死んでいたプードルの子犬。日本初の遺品整理業者が目撃した数々の孤立死の現場から見えてくる、現代社会が抱える問題と、感動的な命と絆のドラマ。
目次
私宛の遺書
“立ち鳥跡を濁さず”とは言うけれど
恐怖巨大バエの館
老人狙いの悪徳商法
縁の切れ目が命の切れ目
いくら血を分けた弟と言われても…
最後まで自立できないまま
目の当たりにした父の腐乱死体
現代日本においての餓死
人のふり見て我がふり直せ〔ほか〕
著者等紹介
吉田太一[ヨシダタイチ]
1964年生まれ、大阪府出身。2002年日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ」を設立、年間千五百件に及ぶ遺品整理サービスを提供している。本業以外に、孤立死を防ぐためのDVD制作や、講演活動などを精力的に行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nyaoko
59
遺品整理業を営む社長さんの実体験。あれ、これって…と読んで気づく。「アントキノイノチ」のモデルになった人だった。映画見たわ。窓に向かって大量に残る虫の死骸とか、体液や血液が人の形をそのまま残してるシミとか、色々思い出しました。孤独死って、そんなにいけないの?と思う自分なのですが、後々の始末に追われて大変な話を読むと、1人で死ぬ事をつくづく許してくれない今の時代なのね、と思って悲しくなりました。死について、老いについて、どうしてここまで「負」のイメージしか残らなくなったのかなぁ、なんか寂しすぎます2017/03/15
チアモン
58
遺品整理屋かぁ。私も今、夫と離れて暮らしているので、いくら夫婦とはいえ見られたくないものもあるし自分の親たちにも見られたくないものもある。部屋の掃除も週に一回もしくは2週に一回まとめてしているけれども、いつ何時何があるか分からないからいつもキレイにしてなきゃなぁと思いつつできないでいる。この本を読んで改めてまた掃除や整理をしなきゃなぁと思った。2019/02/25
ぐっち
30
遺品整理屋の社長さんが垣間見た故人の人生。死んだときに現れるそのひとらしさ。1話目で自殺した若い独身男性の遺書…「〇〇さん、○○様。そして警察の方、管理会社の方、清掃してくださる方。私の勝手な行動でご迷惑をおかけしてすみません。」…そんな気配りができる人が自ら命を絶ってしまうなんてもったいなすぎる。私も今は家族と暮らしているけど、おひとりさま属性が強いので、遺品整理屋さんのお世話になるような死に方をするかもしれないなあと考えてみる。なるべく迷惑にならないようにしたい。2019/07/20
澤水月
29
「どんな変死現場もここよりマシ」扉開けたら50cmの土。布団もタンス三分の一も埋めトイレも開けぬ土…に粒。「狭い部屋の謙遜」でなく本当に土を敷き詰めウサギ小屋に住んでいた!人とコミュニケーションできず…踏み固め野球場のような土の量は水換算で20トン、土は何倍も… ウサギはどうなったのだろう…中年期に少なくていいから濃い人間関係をと。孤独死は避けられずとも長期放置は避けられる。おにぎり食べたいと書き遺し生活保護打ち切られ死には厳しすぎ? 対談上野正彦、幽霊は?に出たら解剖しちゃうは笑。続刊と題に欲しい(続2015/11/23
HIRO1970
29
⭐️⭐️⭐️自分のバイオリズムがそうさせているのかわかりませんが、先日読んだ本を軽く上回る程、エグい内容ではありましたが、著者の語り口が非常に良く、仏教感の様な通奏低音を常に感じながら読み進める事ができました。人間には生まれが悪い不幸もありますが、死に際が悪い不幸はそれ以上に耐え難い物であることを学びました。2014/09/02