内容説明
本シリーズの特徴は話題の些末さ、否、多方面性のため、なかなか進まず、本題が何か忘却、否、もともと本題などない、というまさに人間の思考、会話、関係を象徴する点にあったのだが、前作で人気作家となりし水柿君なんとあっさり断筆、作家業を引退宣言。限りなく実話に近いらしいM(水柿)&S(須摩子)シリーズ、絶好調のまましみじみ完結。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年愛知県生まれ。ミステリィ作家。某国立大学工学部助教授のかたわら執筆した『すべてがFになる』が第一回メフィスト賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
121
3作目にして最終巻であっても、またもや物語は実にとりとめない。全体を通して語られるは愛犬パスカルの成長。つまりパスカルの成長日誌という裏テーマが窺える。また最終巻にして思うのはこれは一介の大学助教授の成り上がり物語だったということ。大学の助教授の日常から作家になって収入に困らなくなり、そして庶民派セレブとなっていく立身出世物語だ。ただ億万長者になっても食事は質素で、趣味につぎ込めるお金が増えただけで家事は全て自分たちでやる。過剰な物欲に塗れず、常にマイペースな森氏、いや水柿夫妻は確かに最後解脱したのだ。2024/02/20
Rin
67
電子書籍。すごいなぁ森先生、とっても儲かってらっしゃる…。軽く語られる富豪の生活、出てくるお買い物の金額の桁にビビってしまう私。住む世界が違うとはこういうことか…と沁々。それでも水柿くんたちの考え方はなにも変わらないし、その変わらないことこそが幸せに繋がっているのかな。お金持ちだから幸せとは限らない。でももて余すほどのお金は憧れる。とついつい読んでて思考がお金に引っ張られまくる私。そして水柿くんの物語なのに、最後の作家引退の言葉にちょっぴり慌ててしまった。シリーズ3冊ともにゆっくり気ままに楽しめました。2020/01/29
ゲバオ
49
Mシリーズ最終巻。飼い始めた犬のパスカルが愛くるしくて堪らなかった。あと、くだらない妄想を延々と続けて最後に「星新一か!」と自分でツッコミを入れるっていう繰返しに不謹慎にも吹いてしまった。しっかし、これもっと続いてほしいなー。その気になればいくらでも書けるし…4年に1冊とかでいいから続けてほしかった…2016/05/02
テル35
40
「知性の達人」という表現を使いたい。「天才」では漠然とし過ぎる。自他の知性について深く悟り、人類に伝えられる伝道師だと思います。知性だけが、人を幸せに導くこと。それも、天体レベルでは微細な細胞の明滅であることに、思いを馳せる作品。2019/06/26
akira
40
水柿君第3段。 別名「工学部・水柿助教授夫妻の散財」 財布にお札がないと言っていた須摩子さん。 この巻では「そんなの数千万円でしょう」と言うほどに劇的ビフォーアフター。それでも根本的な生活は変わってない二人。 結局、お金に振り回されない二人だったからなんだなと思った。 水柿君の言葉が印象的。 「もしできることなら、五十年くらいは生きてみたいものだ。そうすれば、須摩子さんと一緒にいる時間が、人生の半分を超える。まぁ、そこまで生きられれば、あとはどうなってもかまわない。そう思うのである。」2013/03/15
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