内容説明
半年余り前、かつての上役、豊後森藩下屋敷の高堂用人から呼び出しの書状を受け取っていた小籐次は、今更ながら高堂を訪ねたところ、いきなり上屋敷への同道を求められる。藩士時代にも滅多に足を踏み入れたことのなかった上屋敷。その意向を小籐次は計りかねるが、やがて面前に現れた人物から思いも寄らぬ望みを託される。感涙必至の第十六弾。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年北九州市生まれ。日本大学芸術学部卒。『闘牛』でデビュー。99年に時代小説『密命―見参!寒月霞斬り』を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雅
47
かつての上役に頼られ向かった先で会ったのはかつての悪友。友情を温める間もなく騒動に巻き込まれるのはいつも通り。無敵な感じもいつも通り。分かってるんだけど楽しんでます2019/07/16
TakaUP48
42
小籐次が苦手とする元上役・高堂用心から藩屋敷出頭の命令?豊後森藩主・通嘉より他藩から小籐次拝借の願いを受けたという。訪ねれば「品川の騒ぎ」で、共に悪さをした幼なじみ松平家三男坊・保雅で、30数年来の再会。今や、信州6万石松野藩藩主・松平能登守となっていたが、藩内では保雅を引きずり降ろそうと画策を企てる一団が暗躍。子・保典を誘拐し、隠居を条件に返すという。子の救出と、一団を密かに断罪して欲しいとの依頼。おしんらと共に救出と造反組を大掃除。目標が明確な話で、とても読易い巻だった。スイスイと読み終え、甘露なり!2021/06/07
kinupon
36
昔の友との再会・・・。そこからとんでもない事件に巻き込まれる小籐次。でも安心して読んでいられます。2015/09/30
くまクマ
32
他藩の御家騒動を解決する話しは他のシリーズ含めてやっぱり面白い。そして、安定のおしんと新八の働き。2021/05/03
藤枝梅安
30
「旧主」との再会は導入で、内容は「旧友再会」かな。鎌倉河岸の豊島屋が出てきて佐伯ファンはきっとにんまりしていることだろう。番外編「品川の騒ぎ」から30年。若いころ小籐次らとつるんでいた、松平保雅妾腹の三男が嫡子の死亡により藩主となった。その藩の国許に不穏な動きがあり、小籐次は仲間らと共に信州・松野藩へと旅立つ。お家騒動を部外者である小籐次が決着をつけるというのは他の作品でも出てきた物語。幕府に上手く使われているが、見返りもちゃんとある。松野藩主やその江戸詰の家臣たちは今後もこのシリーズに登場してきそうだ。2011/09/04