内容説明
少女が跨いだ小石を持ち帰って頬ずりすることの興奮、男子の股ぐらを潜り抜ける姿を嘲笑されることの悦び…。正常とされる価値観に馴染めなかった少年は、それでも必死に生きていた。時代は昭和初期、戦争前夜。開戦に向けて熱狂する大衆を尻目に、ひとり逸脱していく孤独と愉悦。『家畜人ヤプー』の著者が、インモラルな半生を赤裸々に綴る。
目次
遠い記憶のニムフ
奉安殿の幻想的生理
筑豊の男の股くぐり
昭和六十年のお化け
正夢・逆さ夢・迷夢の風景
人の行く裏に道あり花の山
男おしんの変身願望
大丈夫、鬼となりて野に迷う時
便壷の蛆の詩を君知るや
赤子の命を抱きしめて〔ほか〕
著者等紹介
沼正三[ヌマショウゾウ]
1926年福岡県生まれ。「奇譚クラブ」に連載された「家畜人ヤプー」が三島由紀夫、澁澤龍彦らの絶賛を浴びる。同作は後に大ベストセラーとなり「戦後最大の奇書」と称された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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憲法記念日そっくりおじさん・寺9条
70
面白い!。戦後最大の奇書と言われた小説『家畜人ヤプー』の著者・沼正三の赤裸々(露悪趣味?)なる私小説的自叙伝。私は十代の頃、憧れて手に取った『ヤプー』を途中で投げ出したが(笑)、これは面白い。自伝に昭和史(及びそれに纏わる日本史)が絡む。全ての思い出を記そうとしたかのような固有名詞たっぷりの記述も良い。史実に対する分析も面白い。貧しい家庭に育ち、盗癖が芽生え、マゾヒスト的な性に目覚める。田舎での差別や不潔な環境の記述も赤裸々で、何だかんだと時代は良くなっているのだと思った。読む愉しみが横溢。2014/09/20
Yuka
4
時代背景も合わせて考えると、この少年はすごくまともな感じがします。漢字や表現が難しいものもあって、私の頭では理解しきれない所もあるけど、歴史書にもなる1冊だと思いました。帯の「私は変態少年であった。」はかなりインパクト大でした(笑)2012/03/28
しんすけ
3
三島由紀夫が絶賛した『家畜人ヤプー』の作者は沼正三だった。その結果、偉大なる変態小説作家として沼正三の名が日本人の襞に痼り付いた。だが『禁じられた青春』の著者は沼正三だろうか。本書の初版では著者名が「天野哲夫」だった。1982年に天野哲夫が『家畜人ヤプー』の作者のひとりであると公表してはいる。。。本書は変態の萌芽は見られるものも、変態の精神形成物語ではない。全体の構成は少年の葛藤を描いた自伝小説であり、デビッドコパフィールドを髣髴させる。ルソーの『告白』に触れるところに変態的雰囲気を醸すのが面白い。2015/01/24
らむり
2
なんだこれ。。★★☆☆☆
ひぽぽたます
1
全3巻で構成される、著者の青春と戦争を重ねて描く昭和史。正直評価に悩む。2009/05/26