内容説明
ギャンブルは、趣味でも仕事でもなく信仰である!を自認する著者がヨーロッパ屈指の最高級ホテルを泊まり歩きながら、由緒あるカジノで一攫千金を夢見て大博打。ニースでは魂も私財も溺め取られ、サンレモではリラをフランと勘違いしてぬか喜びの万歳三唱。最後に待ち受けるのは、歓喜か?絶望か?痛快世界カジノ紀行、シリーズ第一弾。
目次
モナコの伯爵夫人
ギャンブラーの聖地
誇り高きクルーピエ
偉大なる小国家
リヴィエラの女王
花火とトップレス
アンティーブの古城にて
カンヌのナポレオン
サンレモの夜は更けて
バーデンよいとこ
ユーロ万歳!
カジノは国家なり
登山電車に揺られて
タイム・イズ・ライフ
アルプスのサムライ
伝統と格式の鉄火場
終身名誉会員
1億円しばりの密室
ノルマンディの妖精
博奕なるものあらずや
消費は美徳。倹約は罪。
皇帝のシュピール・バンク
ゲルマンの叡智
名作『賭博者』の背景
考えるドイツ人
アメリカン・スタイルの正体
遊べよ、日本人!
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。「地下鉄に乗って」で第一六回吉川英治文学新人賞、「鉄道員」で第一一七回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
87
これは書籍化して大丈夫な内容なのですか!?浅田さんのエッセイは面白いからとりあえず買っておく的な気軽な心持ちで手にしたのに、メッチャヘビーというか、凄すぎるというか…。これはただのエッセイではなく、旅行記なんです。それも、世界カジノ紀行という、とんでもない内容なんです。モナコ、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリア、イギリスと、各国のカジノでひたすら博打をしている様子が描かれているのです。これを読んでいたら、あの『プリズンホテル』の主人公・木戸孝之介は、浅田さん自身なのではないかと思えてきましたね。2017/06/17
s-kozy
66
食欲、性欲、睡眠欲のいわゆる人間の三大欲望に加えて「博打欲」も個体維持にかかわる本能的欲望だとのたまう売れっ子作家によるヨーロッパカジノ紀行。モナコやニースの海岸、アルプスの山々、重厚な建築物などなどのカラー写真もふんだんにあり、一冊で二度美味しい文庫本でした。随所に浅田さんの人生訓や芸術論も盛り込まれていてよかったなぁ。曰く「子供の目から見れば、くたびれているか酔っ払っているかどっちかのおとうさんというのは、いかに勤勉勤労であっても、やはり魅力に欠けると思う」、言うなぁ、浅田次郎。人生、楽しもうっと。2014/07/11
taku
29
ときどき小説を書くギャンブラー親父、世界のカジノを巡る第一弾。ギャンブル&旅行好きには楽しいシリーズ。カジノを通して考察するお国柄、国民性が面白い。アメリカ人どんだけ考えるの嫌いなんだよジローさん。カジノは人生の縮図か、何となく納得。蠱惑的な賭博を嗜める人であるためには、資質が備わっていないとな。最後の一行に伝えたいことが集約されてる。「遊べよ、日本人」おう、粋にね親父ローさん。読ませる文章を書くあなたはやっぱり小説家だ。2017/05/01
スプリント
13
浅田次郎さんによる世界のカジノめぐりです。 為替を勘違いして夢想するエピソードが最高です。 いつか大勝ちしますように。2020/12/30
Kaelu Haruki
12
ヨーロッパのカジノの旅打ちを通じた様々な考察。僕も昔フランス(モナコ含む)を旅行した時にカジノ巡りをした。山麓の保養地にあるカジノは小じんまりとして日本のゲーセンみたいだったことを思い出して懐かしかった。旅の終着地はバーデンバーデン。この地に着き、カジノの歴史、ギャンブラーの心理、温泉、ドストエフスキーの「賭博者」、さらにかつてこの地で行われた旧日本陸軍の談合にまで話題が及ぶ著者ならではの切り口は面白かった。「幸福の確認を怠った努力の結果はろくなものではなかった。遊べよ、日本人。」2014/09/29