内容説明
一九七一年に創刊された伝説のゲイ雑誌『薔薇族』。非同性愛者でありながら、日本全国のゲイ読者の悩みや気持ちに応えつづけ、警察からの呼び出しや、発禁、廃刊にもめげず二〇〇六年には三度目の復刊を果たした。三〇年以上闘ってきた編集長の原動力とは?美輪明宏、寺山修司らから絶賛されたその魅力に迫る第一級ノンフィクション。
目次
第1章 創刊(エロ本を作る信念;運命の本 ほか)
第2章 読者(月刊化宣言;読者が第二書房にやって来た ほか)
第3章 才能(投稿から生まれたもの;楯四郎さんのこと ほか)
第4章 事件(チーマーとゲイバッシング;オウム信者とあるマスターの恋 ほか)
第5章 歴史(二丁目と『薔薇族』の誕生;読者の溜り場を作りたい ほか)
著者等紹介
伊藤文学[イトウブンガク]
1932年東京都生まれ。世田谷学園、駒澤大学文学部国文科卒。1971年に『薔薇族』を創刊し、同性愛者への差別や、偏見をなくす運動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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猫丸
12
キリスト教圏で男性同性愛者が差別の対象であるのはわかる。ファナティックな信者に道理は期待できない。聖書に照らした罪として簡単に否定されるだけだ。日本にその基底は無いはずなのに、ホモセクシュアルの人が虐げられた時代があった。なぜだかわからないけれど、日本に特有な事情としては、少しでも「オレたち」と違う者は排除してもいい、という奴隷根性が染み付いていることが挙げられるかもしれない。ともかく今はそんなことを言う人は余程アタマの弱い人以外にはいなくなった。慶賀すべき時代であろう。2022/11/15
かんちゃん
10
昨今話題の同性婚やLGBTなどの勉強のため読んでみました。著者の伊藤文学さんすら知らない本当の初心者でしたが、とてもわかりやすく読み終えることが出来ました。昔は本当に好奇な目で見られていた世界を、それでもここまで世間に近づけた功績は大変大きいことだと思います。カミングアウト出来ずに苦しんでいる方にとっては本当にありがたい存在の雑誌なのかと思いました。 2015/07/13
しげ
9
ふだん見ることのできない角度から「社会」を見ることができ、とても興味深かったです。どの立場から見るかによって「社会」の姿は大きく違ってくるのですね。その違いをできるだけたくさん想像できるようになりたいものです。2013/09/05
★★★★★
5
ノンケの著者がひょんなきっかけからゲイ雑誌を創刊し、次第に抑圧されたマイノリティたる同性愛者たちへの使命感に目覚めていく様は、感動的でさえあります。2009/06/17
olivegreen
4
ゲイ雑誌の社会史、あるいはゲイ雑誌を通してみた日本社会史と言ってもいい。2009/08/30