内容説明
なぜ、こんなにつらい思いをしてまで生きねばならないのか―。再起不能と宣告された事故から三年。「日本一のフェラーリ遣い」は、顔を失い手足も思うように動かすことができず、壮絶な戦いを続けていた。奇跡の生還を経て再び社会に復帰するため、家族に支えられながら新しい生き方を見つけるまでの感動ノンフィクション、待望の続編。
目次
序章 偶然の一致
第1章 よどんだ河
第2章 レーシングドライバーの仕事
第3章 動きだすボート
第4章 リハビリ再開
第5章 二年半ぶりのサーキット
第6章 再びフェラーリに
第7章 新しい目標
第8章 海へ
終章 偶然の一致、再び
著者等紹介
太田哲也[オオタテツヤ]
1959年群馬県生まれ。レーシングドライバー。四年連続でル・マン二四時間レースに出場。「日本一のフェラーリ遣い」と呼ばれる。98年、全日本GT選手権で多重事故に巻き込まれ、瀕死の重傷を負う。現在はレース復帰を目指し、新たな戦いに挑む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ランフランコ
6
太田哲也は「クラッシュ」と「リバース」を書いて良かっただろうな。多くの人に色々なことを教えているよ。彼のような体験は誰もしたくはないが、そんな彼だからこそ達する境地がある。この本を読んだからには太田哲也の境地の100分の1でもいいから自分のものとして今後の自分の人生に活かしたい。彼が増々回復し復活されることを祈る。2018/07/27
yumiha
5
一番ズキッときたのは、「体験は美化する」という一言。体験したことは事実としての強みを持ってはいるが、それは、自分にとって都合のよい場面だけを切り取ったり、意味づけを加えたりしてしまいがちだ。だから、作家ではない、いわゆる素人さんの闘病記は、気持ちは分かるけれど、どこかに自己正当化が臭ってしまうのだろう。そのことをちゃんと意識化しておられた太田哲也氏の一言に、脱帽!2012/11/19
ning
2
前作「クラッシュ」は肉体の生還がメインとなる凄まじい闘病の記録だった。続編の今作は社会への復帰が大きなテーマとなる。裁判などストレスの多かっただろうことは少し触れるだけ。再びフェラーリに乗るまで、体と心のギリギリの状態が続き、そのシーンに胸が苦しくなって、読者の自分も祈っていた。勇気を持って物事に挑むこと。太田さんの生き方を見ていると、本当にその価値がわかる。2020/07/07
paluko
0
「先生、何かいい方法を考えてくださいよ」「うーん、そうだよな、いい方法といってもなあ、何かあるかなあ……」」「先生、冷たいじゃないですか。俺の命の恩人でしょ」「うーん……。それを言われるとなあ」(p.29)執刀医とのこのやりとりにぐっときました。2010/08/29