内容説明
試合で活躍した選手が心臓麻痺で死ぬという事件が起こった。セリエAの日本人プレーヤー冬次の依頼で調査に乗り出した小説家・矢崎は、死を招く最強のドーピング剤「アンギオン」の存在を知る。イタリア、南フランス、キューバ…いくつもの罠が待ち受ける中、ついに冬次の身にも危険が迫る。サッカーの面白さと物語の興奮が融合した小説。
著者等紹介
村上龍[ムラカミリュウ]
1952年長崎県生まれ。76年「限りなく透明に近いブルー」で第七五回芥川賞受賞。「コインロッカー・ベイビーズ」で野間文芸新人賞、「村上龍映画小説集」で平林たい子賞を受賞。『トパーズ』『KYOKO』で映画監督も務めた
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
51
サッカーを題材にしているので、好みが出ると思います。個人的にはサッカーがまるでわからないので読んでいて辛かったです。特に後半の試合がくどい。ちょっと合わない作品でした。2020/08/22
kazi
24
数年ぶりに再読してみた。あらためて村上龍の説明能力の高さに驚くね(^▽^;) 欧州サッカー界で立て続けに起こる謎の怪死事件。主人公である小説家・矢崎が謎のドーピング剤“アンギオン”を追う、なんていう小説のストーリーははっきり言ってどうでもいいです。この小説の読みどころはとにかく“サッカー”。ピッチの内外を問わずサッカーについて描写する村上龍の筆の冴えっぷりが素晴らしいです。読み返してみると、現代になって欧州サッカーはあらゆる意味で“健全化”したんだな~、としみじみ実感しました。2021/02/10
りょ
10
ヨーロッパサッカー界を脅かすドーピング剤をめぐるミステリー。ミステリとしてのオチはあれっ?て感じだったけど、サッカーの試合を書きたかったんだろうなと思うほど最後100ページの試合描写は見事。脳内で見事に試合の様が浮かんだ。逆にサッカーがわからない人には??になるかな?試合中のスタジアムの空気感や試合の臨場感に早くサッカー見に行きたくなりました。中田英寿が夜羽のモデルだったようですね。ほとんと全ての攻撃が失敗に終わるのがサッカー。ゴールは基本的に奇跡。地元チームが負け続けても挫けるなと言われてる様でした!2017/02/18
亮人
6
1999-00シーズンの伊セリエA。メレーニアの夜羽冬次は、未知のドーピングの噂を聞き、作家の矢崎に相談する。世界中を駆け回り調査。そしてセリエA最終節、ドーピングの陰謀が直接冬次に降りかかりながら、優勝と残留を賭けたユヴェントス戦が始まる。ということで凄かった!実際の試合以上の濃密な試合描写!さすがの筆力。このユーヴェ戦こそがこの小説の主人公だ。ドーピングやら旅先での陰謀とかは全て前座。だから全てに答えが出てない終わり方でも問題ないのだ。2020/11/15
ゆりこ
6
面白かった!!まず、その一言です。再読でラストも覚えているにもかかわらず、ハラハラドキドキしながら読むことができました。特にご飯のシーン(笑)と、試合シーンは素晴らしい!あとがきで、この小説では選手たちのバックグラウンドとか人間ドラマとかはなるべく入れなかったと書いてあるのを読んで、初めて、そういえばそういう要素が少なかった、と気づきました。普段は人間ドラマの少ない物語には不満なのですが、今回はそんなことに気づく間もなく読まされてしまいました。それくらい素晴らしい試合でした!2013/11/05