内容説明
「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトとにわかれる。私はきっと愛したことを思い出す」。“好青年”とよばれる豊は結婚を控えるなか、謎の美女・沓子と出会う。そこから始まる激しくくるおしい性愛の日々。二人は別れを選択するが二十五年後の再会で…。愛に生きるすべての人に捧げる渾身の長編小説。
著者等紹介
辻仁成[ツジヒトナリ]
1959年東京都生まれ。89年「ピアニシモ」ですばる文学賞受賞。97年「海峡の光」で第一一六回芥川賞受賞。99年「白仏」でフランスの文学賞であるフェミナ賞を日本人として初めて受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
315
最初は沓子は勝手だし豊はずるくて計算高い、この2人最悪だ、と思って読んでいたが25年後の沓子は一途に思い続けて、最初と違った印象になった。そんなに経ってもお互い求めあってしまうのは美しい純愛な気もするがとらわれすぎてバカだ、という、読み手はどっちつかずの感情になりスッキリせず。「不自由なく安定した生活」「不安定だが愛する人と過ごす日々」どっちが幸せか?「二度と苦しい恋はやめようと誓い、実践してきたのである。それは光子に誓ってそうしたのではなかった。寂しく捨てた沓子に対しての、せめてもの償いでもあった。」2020/10/07
遥かなる想い
176
中山美穂主演の映画を観て 読了。 読みながら、中山美穂、西島秀俊に加えて、著者の辻仁成まで 浮かんでくるのが、なぜかおかしい。 映画ではよくわからなかった沓子の事情、 原作との違いが 伝わってきて面白い。 ひどく ずるい 好青年が 25年経って 知り得た真実とは何だったのか? 感傷的な 大人の愛の物語だった。2020/09/09
ykmmr (^_^)
142
内容には…納得いかない『道徳感』と『憤り』を覚える内容。また、人や世の中との「必要な線引き」も投げかけてくる。しかし、2人のお互いに対する気持ちは、『純愛』そのもので、周囲に対しても、『純粋』そのもの。だからこそ、2人はお互いに対しては『気持ち』を通し、周囲に対しては『道理』を通した。それがまた、良かったのか妥協なのかは、2人の人生の中で、正解でも不正解でもあるし、生き方や選択に、100%は中々成し得ない事を投げかけてくれる。正直、あまり好きではないカップル。ただ、その一途さには敬服がある。2023/03/31
☆ぉりん☆
142
2004に読んでいたけど、全く覚えてない。多分、当時と今では感じること、思うことが違いすぎる。 胸が痛くて本当にツライ。共感すると言って言いのかわからないけど。 映画より“沓子の人間性”が強かった。 私もある人だけを忘れられず、その思い出だけで生きていくことになったらどうしようという不安。2011/07/26
ミカママ
117
過去に訪れたことのあるバンコク、オリエンタルホテルが舞台なエキゾチック小説。これ、舞台がオリエンタルホテルじゃなかったら、3割減な内容ですね。久しぶりに読んだ「これぞ恋愛小説」だったけど、男に都合がよすぎてげんなりでした。2013/06/26
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