出版社内容情報
20代半ばにしてデビューをした作家・矢﨑健介、70歳になった。
「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢﨑をユーチューブに誘う。
承諾した矢﨑が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。
自由であるということは、唯一の希望を生む。
矢﨑は、これまで付き合った女性について話したいと言う。約半世紀の間に、登場しては、消えていった女性たち。思い出して、涙を見せながら、語られる女性たちとの思い出。
それは、今考えると、生命の源泉だった。
亡くなった女性も、行方不明の女性もいた。彼女たちとの付き合いが、作品を生みだし、矢﨑健介という男を作っていたのだ。
待望の傑作連作小説
内容説明
自由希望、そしてセックス。最新長編小説。
著者等紹介
村上龍[ムラカミリュウ]
1952年長崎県生まれ。1976年『限りなく透明に近いブルー』で第七五回芥川賞受賞。『コインロッカー・ベイビーズ』で第三回野間文芸新人賞、『半島を出よ』では第五八回野間文芸賞、第五九回毎日出版文化賞を受賞。映画化・監督作品も多数。メールマガジン「JMM」主宰、「カンブリア宮殿」(テレビ東京)にメインインタビュアーとして出演(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
236
村上 龍は、40年以上に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。流行りモノを取り込んだ私小説的連作短編集、面白くなくはないですが、著者の衰えを感じる一作でした。著者はもう復活しないのでしょうか❓ https://www.youtube.com/watch?v=Ir9iiZ2TC0E2023/04/14
遥かなる想い
114
村上龍の短編集である。過激な表現は影を潜めたが、不穏な雰囲気は健在で何故か懐かしい。 初老の作家が語る女性たちとの日々 …特に胸を打つこともなく、感情移入もできないのが著者らしい。 過ぎし日々を本作で語ってはいるが、その 本心はどこにあるのだろうか?ひどく 穏やかな初老作家の物語だった。 2023/08/03
R
111
連作短編集というくくりでいいと思うのだが、それぞれは独立していて、登場人物全員の主役回を集めたような本だった。素地にユーチューバーという単語があるのだけども、それをキーワードにしているだけで、そこらにいそうなうらぶれた男性と、小説内にいかにもいそうな小説家と、もろもろの女たちといった感じで、だらだら喋っているだけという、まさに素人ユーチューブといった内容なんだが、なぜだか読まされてしまう。若い人が動画という手法でやっていることを年寄りは文章でやるんだよという感じなんじゃないかと読んだんだがどうだろう。2024/06/29
ケンイチミズバ
111
世の中がバカ化してしまっているので、下の方まで村上龍氏は下りてきたのだろう。作品としても雑な感じが、これはこれで演出なのだろうか。常識やモラルの低い人によって垂れ流される動画情報がこうやって作れてしまう。PV数を稼げば配分金収入が得られる。酒の勢いで女と「やった」話を脈絡なく語り続ける著名作家は文学賞受賞後に映画も撮ったらしい。これは村上龍氏本人のことなのだろうか。世の中の何のためにもならないスキャンダルなどが需要があることはかつて写真週刊誌が世論を動かしてたことからも既に経験済みなのだが、薄っぺらい。2023/04/11
どんぐり
92
矢崎健介女性を語る「ユーチューバー」「ユーチューブ」に、「ホテル・サブスクリプション」、ケーブルTVの「ディスカバリー」チャンネルなど短編4つ。「ユーチューバー」と「ユーチューブ」の2編は、村上龍と生き写しの老作家が登場し、若かりし日の女性遍歴を語るものだ。映画『にがい米』でシルヴァーナ・マンガーノがはちきれんばかりの若い身体から見せる腋毛にドキリとしたという文章まで出てくる。いずれにしろ、老境に入った作家が懐古趣味に奔り、どれも若さへの羨望と枯れた感じが否めない。2024/08/01