出版社内容情報
「誰もが生きやすい世界は、いろんな境界線が混ざり合った世界だと思う」
耳の聴こえない両親から生まれた子供=「CODA」の著者が書く
感涙の実録ノンフィクション!
もしかすると、ぼくは母親の胎内にいたとき、国に“殺されて”いたかもしれない――。
そう考えると、いまこうして原稿を執筆できている状況が、まるで奇跡のように思えた。2018年9月、衝撃的なニュースを目にした。ろう者である兵庫県の夫婦2組が、国を相手取り訴訟を起こしたのだ。
その理由は、旧優生保護法による“強制不妊手術”。旧優生保護法とはいまはなき法律で、その第1条には「不良な子孫の出生を防止する」と記されていたという。
障害があることで、差別を受ける。これは絶対にあってはならないことだ。健常者のなかには、障害者をことさら特別視する人たちがいる。それが悪意のある差別や偏見として表出することもあれば、過剰な親切心という逆説的なカタチで表れてしまうこともある。
けれど、忘れないでほしい。障害者は別世界の人間ではない。ぼくら健常者と同じ世界に生き、同じように笑い、怒り、哀しむ、ぼくらの隣人なのだ。ただし、ぼく自身がそう考えられるようになったのは、大人になってからだった。幼少期の頃のぼくは、障害者、特にろう者のことを嫌っていた。
そう、かつてのぼくは、母のことが大嫌いだったのだ――。(本文より)
内容説明
耳の聴こえない親に育てられた子ども=CODAの著者が描く、ある母子の格闘の記録。
目次
第1章 海辺の小さな町に生まれて(平凡な町に暮らす、“ふつうではない”親子;聴こえない母は、おかしいのかもしれない ほか)
第2章 自分の親が恥ずかしい(息子の“声”を聴きたくて;いじめられていることを相談できない ほか)
第3章 そして、上京(いつだって笑っていてほしいから;大学に行くことを諦めざるを得なかった ほか)
第4章 コーダに出会う(お店で出会った聴こえないお客さん;聴こえない親に育てられた“コーダ” ほか)
第5章 母との関係をやり直す(祖母の死と、母が抱く哀しみ;聴覚障害者に“できること”とは ほか)
著者等紹介
五十嵐大[イガラシダイ]
ライター/エッセイスト。1983年、宮城県出身。高校卒業後、さまざまな職を経て、編集・ライター業界へ。2015年よりフリーライターに。自らの生い立ちを活かし、社会的マイノリティに焦点を当てた取材、インタビューを中心に活動する。2020年10月、『しくじり家族』でエッセイストデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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