内容説明
強さとは何か。己は強いのか。織田信長は、桶狭間で今川義元の首を取り、姉川で浅井・朝倉両軍を打ち破って着々と領土を拡げても、問い続けていた。長島一向一揆で二万を超える大坂本願寺の宗徒を焼き殺し、「神になる」と宣言。長篠で武田勝頼に圧勝して強大な権勢を手にしたが、それでも自分を信じることができない。敵将への妬みも消えず、麾下の兵を真に信頼することもなかった―。天下布武目前、重臣の謀反によって没した傑出の猛将、信長とは何者だったのか?
著者等紹介
木下昌輝[キノシタマサキ]
1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒業。2012年「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞。同作は第152回直木賞候補となり、15年に第2回高校生直木賞、第4回歴史時代作家クラブ賞新人賞、第9回舟橋聖一文学賞を受賞。19年に「天下一の軽口男」で第7回大阪ほんま本大賞、「絵金、闇を塗る」で第7回野村胡堂文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
215
木下 昌輝は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。『 恐怖』と『強さ』をテーマとした織田 信長の連作短編集、悪くはないですが、少し読み応えに欠けます。著者には長編で勝負して欲しいと考えています。次回、同時刊行 天野 純希の『信長、天が誅する』を読む予定です。 2019/12/15
いつでも母さん
202
ほぅ・・悩むねぇ信長。強さとは、怖れとは、自分を信じるとはーこんな信長もあったかぁが正直なところ。勝手に信長像を結んで生きてきた私には意外というか何というか・・ではあるものの、木下さんが本能寺の変までを読ませてくれた。直近で違う光秀を読んで、今またこんな光秀が。作家って凄いです。天野作家の『信長、天が誅する』も読まねば。それにしてもやっぱり信長は面白い人物なのだなぁ。2019/12/20
旅するランナー
194
桶狭間、浅井朝倉戦、長篠の戦い、比叡山焼き討ち、本能寺の変...一連の流れの中で、岩室長門守と森乱だけが信長に目指すべき道を指し示すことができる。そして、本当の強さを追い求め、恐怖心を得るために神に成り代わろうとする信長が凄まじくカッコいい。信長ファンも納得でき、明智光秀も存在感を示す、疾風怒濤の一作。2020/01/06
修一朗
138
他人に興味がなく自身を神と称したとされる信長が,松平元康,お市,光秀らをどう思っていただろうかが描かれていその解釈が面白い。垣根さんの「信長の原理」が信長の気質面から人間性を描こうとしたのに対して,こっちでは局面でどどんな判断をしたかで表現しているので小粒な感じだ。本能寺の変の一因が光秀との人間関係にあるという解釈がユニークだ。極端に言葉が少なかった信長の心のうちを描いてみようというという木下昌輝さん版信長記であります。2020/04/18
yoshida
117
天野純希さんの「信長、天が誅する」と対を成す作品。この作品では信長の視点で物語が進む。天野さんの作品を補完し、信長の発した言葉の意図が分かります。信長は恐怖する相手を求め武田や本願寺と戦うが屈せず、遂に天と対峙することを選ぶ。その結果として総見寺が現れる訳ですね。対で読むことをおすすめする作品。序盤に登場した岩室長門守は初めて知る。同盟する水野家の勢力が序盤は以外に大きかったこと等、新発見もあります。信長も楽に勝ち上がった訳ではなく、運も味方していた。天に歯向かう信長を運が味方する。興味深い作品でした。2020/03/07
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