内容説明
人生は一度だけ。なるべく幸せでいた方がいい。なるべく愛する人と、おいしく食べた方がいい。だれの胸の中にもある、亡き両親への思慕と子への情愛をあたたかな筆致でつなぎとめた傑作エッセイ。豪華イラスト付。
著者等紹介
吉本ばなな[ヨシモトバナナ]
1964年東京都生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数
Tang,Soupy[TANG,SOUPY] [Tang,Soupy]
作家・画家。エディンバラアート大学在学中、「Relaxing Together」でデビューし専業イラストレーターとなる。地域、文化、日々の生活を観察して描く様々な作品は、普遍的で抽象的な表現を生み出している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
249
吉本 ばななは、新作中心に読んでいる作家です。絵本と短編の中間のような作品でした。恋人にしても夫婦、家族にしても、東京バンドワゴンの堀田家の家訓のように「食事は(家族)揃って賑やかに行うべし」が大事なんでしょうね。Soupy Tangの絵も好いですが、ほぼ一色に塗りつぶした頁は不要だと思います。私は、タピオカを好きですが、タピオカ専門店には行ったことがありません。台湾には、ごく普通にあるお店なのでしょうか?2018/09/15
風眠
160
人生は一度しかなく、なるべく幸せでいた方がいい。なるべく愛する人と、おいしく食べた方がいい。/(本文より)人生には幸せじゃない時もある。食べ物もおいしくない時もある。けれど吉本ばななは「なるべく」と言う。こんなにも心がこもっていて、温かな実感が伴う言葉があったなんて。私にとっての「切なくて幸せな〇〇」はキーマカレー。パプリカや蓮根などの素揚げ野菜をトッピングした、見た目だけおしゃれカレー。あの人と二人で台所に立って、野菜どれのせる?って。あの時の切なさも、幸せも、もう過去のこと。でもそれでいいのだと思う。2018/10/04
ゆのん
118
【絵本】絵本ではあるが大人の絵本。すごく素敵な本だった。相手を一途に想って一喜一憂していた懐かしい恋愛時代や、大切な我が子の幼い時を微笑ましく思い出す。夜泣きや病気、反抗期や受験など大変な事も沢山あったけど、母である私に100%依存していないと生きられない弱く愛おしい時間はあっという間に過ぎてしまう。完全に親離れしてしてしまった我が子だが今は見守りつつ自分の時間を楽しみたいと思わせてくれる本だった。1162019/04/12
美登利
100
ばななさんの短いエッセイに海外のイラストレーターさんの絵画付きの絵本のような本です。家族と、好きな人と食べる家庭の味やお店での食事の思い出色々。本を開くと何だか懐かしい気がするのは、絵が小学生の水彩画みたいに感じるからか。誰もがこのように描けるわけじゃないけれど、クラスに何人かいる絵の上手な同級生が描いたような気がして。この本を読んだたくさんの人たちに、ばななさんと同じような温かい思い出がありますように。子供が巣立つことは寂しい思いもあるけれど、それは決して悲しみではないように。2018/08/31
ででんでん
89
ばななさんの本はそんなに読んでいない。この本は字が少なくて、でもめくってみた中身が気になって、それからイラストがとても素敵だったので久々に手が伸びた。私はお父さんの吉本隆明さんが、昔から好きで、ばななさんが小さいときのお父さんとの暮らしについての描写がとてもよかった。お母さんが病気だったから、隆明さんは、少しでも時間があれば自分の研究がしたかったはずだが、幼いばななさん姉妹のごはんを毎日調えていた。市場のお総菜や、食材使いきりのために同じ材料ばかりの「づくし」メニュー。でもそこには確かな愛情が。2019/02/17