内容説明
稀代の芸術家が生涯に残した仕事は多岐にわたる。会員制の「美食倶楽部」で食通たちを虜にし、天下の名料亭「星岡茶寮」を立ち上げ、三十万点もの陶芸作品を生み出した。一方天才ゆえの傲慢さ横柄さは周囲の友人、恩人、家族を傷つけ遠ざけ、病床に寄り添うのは平野雅章ただ一人。鬼才と呼ばれ怪物と恐れられた北大路魯山人とは一体どんな人物か。平野は縁の深い人物を訪ね歩き、その実像に迫ろうとする。料理人の松浦沖太と武山一太、若かりし魯山人に影響を与えた細野燕台、盟友・中村竹四郎、陶芸家・荒川豊蔵、三番目の妻中島きよとその娘和子。明らかになる知られざる顔とは。
著者等紹介
田中経一[タナカケイイチ]
1962年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、テレビ業界へ。その後、フリーの演出家として独立。フジテレビ「料理の鉄人」「ハンマープライス」「クイズ$ミリオネア」「VVV6」やテレビ朝日「愛のエプロン」など数々のテレビ番組の演出を手がけ、多くの受賞歴を持つ。2014年、『麒麟の舌を持つ男』(『ラストレシピ 麒麟の舌の記憶』に改題、幻冬舎)で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みいやん
7
北大路魯山人のことは天才だが変人くらいの知識しかなく、この作品を読んで改めて彼の芸術へのこだわりやプライドの強さ、生い立ちを知るとタイトルがグッとささりました。2018/03/14
mamaboo
6
以前に三井記念館で魯山人の展示を見た。器も見てこだわりにすごさに驚いた。これも映像化向けですね。もっと昔を生きた人だと思っていた。2018/03/16
だけど
3
幸せでなかったから。作品のためなら。芸術家だから。という理由で人を傷つけていいわけはないけれど、悲しい分だけ作品が素晴らしかったのは事実です。2018/11/01
カリメロ
3
フィクションとあるが、ほとんどノンフィクションかと思う。原田マハさんのアート小説に少しだけ通じているようにも感じました。魯山人は、食道楽で料理に合う食器づくりをし、その他にも秀でた芸術家というくらいしか予備知識がなかったけれど。こんな掘り下げ方をされ、魅力を感じたというのではないが、興味がわきました。展覧会があれば、ぜひ行きたいと思いました。2018/05/11
oct2
3
3年位前に魯山人展を見に行き多いに感激した思い出がある。書き手は料理エンタテーメント小説の気鋭田中経一。どんな具合に仕上がるのかと読み始めた。料理の鉄人で広く知られるようになった平野雅章を狂言回しに使い魯山人に仕えた料理人、陶芸家、実業家、書家、奥さんからの回想の話を基に魯山人の生涯を綴ってゆくもので、話しは縦軸、横軸が張り巡らせあり複雑に重ねあい絡み合ってゆく。病床に伏す魯山人からの回想、娘からの話そしてミステリーのように大どんでん返しまで用意されている。とても重厚な作品で読んだぞ〜って気になった。満足2018/05/09