内容説明
いつでも、どこでも、安心安定の人格者、チェーン店ならぬチェーン・ピープルでいるための物語。あなたの「ここだけの話」「内緒だけど…」が作り出した物語。
著者等紹介
三崎亜記[ミサキアキ]
1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年「となり町戦争」で第17回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。直木賞、三島由紀夫賞の候補ともなった同作は、映画化もされベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あも
81
ライターによる取材形式で様々な世相(架空の)を切り取る短編集。架空とはいえ現実の世界を拡張した先にあるようなテーマが多く楽しめた。国土を荒らす謎の怪獣と戦う謎の正義の味方(ウルトラマン)を最初は歓迎していたくせに批判し始める人々、チェーン店のようにある人格を演じる人々を描く表題作、毒舌おじさんゆるキャラぬまっち(フナッシー)に湧く世間。応援の名を借りたネットリンチ。どの話も描かれるテーマは人間の集合心理。醜く愚かで、だけど確かに誰もに潜んでいる人間の一側面。警鐘と言うには叙情的な哀しさを呼び起こす話たち。2019/11/17
R
66
説教臭い、違う、けど反発でもない、嫌悪のような、ざらざらする感覚を持たせる小説でした。真実とは何か、そんなことを思考実験めいた物語で読ませてくれたのだけども、真実というものを作ったり、認識したりするのに人間の感情や判断や、嘘や見せ掛けなんかが蔓延って、そういう解っているといいたくなることをこれ見よがしに見せられる感じで、なんとも考えさせられた小説でした。面白かったけども、もう少し若いときに読みたかったかもしれない。2017/10/02
itica
61
短編各々のサブタイトルが全てを語っているのかな。世の中の動向、人の生きざま、群集心理など、そのスポットの当て方がユニークだ。今の世の中を揶揄しているようにも、皮肉のまなざしを向けられているようにも思えるけれど、私たちは自分で気付かないうちに何かを誰かを追い詰めてるかもしれない、と少し怖くなるような内容だった。とは言え、あまりにも意表をついた話なので、正直、ついて行けないところもあった。 2017/05/24
しゃが
49
ネットで先行配信された作品集なのが、風刺が余計強く感じられた。噂話は「ここだけの話だけ…」で済んでいたが、今や不特定多数に伝播され、善意悪意に関わらず、受け手の身勝手な「正義感」「常識」の主観に左右されるのだ。風刺が面白いというより自分の姿をありこわかった、「正義の味方」「似叙伝」「チェーン・ピープル」。特に「応援」は、応援(オイツメ)、ネットパトロンという今の風潮を見事に描いている、CMや天気予報へも。誰が創り上げたかわからない風潮への見極める眼を持たなければと考えたが、そのための基準は…と悩みは深い。2017/05/24
うどん
49
独特すぎてよく分からずでした。すみませんm(._.)m 2017/05/16