内容説明
殺人事件解決のアドバイスを仰ごうと神保町の書斎を訪れた刑事・明日香を迎えたのは、流行作家の毒島。捜査過程で浮かび上がってきたのは、巨匠病にかかった新人作家、手段を選ばずヒット作を連発する編集者、ストーカーまがいの熱狂的な読者。ついには毒島本人が容疑者に!?出版業界激震必至の本格ミステリー!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yunemo
422
売れずに返本される本は、出版社にとって不良債権そのもの。ビジネスとロマン、どちらを取れば。不良債権の山は築きたくはないし。組織の中で生き残るのは利益を上げられる人間。3種の読者層、確かに思い当たるフシあり。これらがベースとなっての毒島氏の思考回路。刑事と作家の顔を持って、その時々で使い分けて、それでも事件解決後の一言は作家としての心の声(何気なく声に出してるけど)ですね。ミステリーというより業界暴露、作家の本音、読者層の色分け、それぞれに頷けるところが多すぎて。もっと滑稽で悲惨な部分、ぜひにという想いで。2016/09/19
takaC
269
誤用だと思っていたけど「耳触りがいい(p179)」なる言い回しは今や市民権を得たのでしたっけ? ”この物語は完全なるフィクションです。現実はもっと滑稽で悲惨です。”というはしがきが意味深。2016/09/17
しんたろー
265
中山さんミステリとしてはライトで驚くようなどんでん返しもないが、出版&ショービズ業界や他人の目を気にし過ぎる人への警鐘を込めたブラックコメディとして楽しめた。様々な問題をシニカルに突いていて「生き方」について考えさせられる部分も多い。ただ、ところどころに大袈裟な部分があるのはエンタメとして許容範囲だが、最後の事件は誤りが多く(シナリオライターの仕事の範囲は間違いだらけだし、映像化オプション契約の設定も非現実的)現状を熟知している私としては正直シラケた。続編が出ても読まない……かな……。2016/12/07
ナイスネイチャ
253
図書館本。という書くのを止めようかと思う作品。一応備忘録も兼ねているのでと言い訳。内容は刑事兼作家の毒島が出版業界に起こる殺人事件を業界の闇を毒を吐きながら事件を暴いていく連作短編集。この業界の大変さと闇の部分が分かり勉強になりました。面白かったです。2016/10/20
ダイ@2019.11.2~一時休止
248
連作短編集。また濃いキャラもってきましたねぇ。東野さんも書いてますが業界の自虐ネタは面白い。2016/09/02