内容説明
軍中枢の思惑とメディアの責任。そして徹底抗戦の果て―。フィリピンで、沖縄で。やがて全軍特攻作戦へ。機密資料と証言をもとに、真相に迫る。話題の「NHKスペシャル」に大幅加筆。書き下ろしノンフィクション。
目次
プロローグ
第1章 火柱
第2章 熱狂
第3章 密室
第4章 沈黙
第5章 X参謀
エピローグ それぞれの「道」
著者等紹介
大島隆之[オオシマタカユキ]
1979年、東京都生まれ。東京大学文学部歴史文化学科卒業。2002年よりNHKエンタープライズ・ディレクター。戦争や災害をテーマとしたドキュメンタリー番組を中心に制作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
21
○大西中将の特攻を始める理由が天皇が戦争をやめる決心の契機とするのは知っていましたが、その考えは天皇には全く通じなかったことと、特攻隊員の気高い精神が政治指導者や参謀にあたら戦争継続の希望を与えたという結論は印象的でした。2022/01/17
まある
13
別の読書レビューサイトでの献本。NHKスペシャルをまとめた一冊らしい。毎年8月は戦争に関する本を読むことにしている。今年は私生活のゴタゴタと読みにくい本を読んだことで日にちが過ぎ、月末になってようやく読めた。戦争での特攻について、知らなかったことを知る機会になった。一部上層部の判断の出来なさや私情で多くの命が失われた。戦中と戦後で価値観が大きく変わったが、国は護りたいが国民はどうでもいいというのは理解出来ないししたくない。2016/08/25
ののたま
12
少しでも良い条件で敗戦を迎えるために欲を出した、上層部の犠牲に約4,500人の特攻隊員が犠牲となったと見るべきか。▲一度始まった戦争は中々止めることができないということがよく分かった。文民である私には、軍人がなぜ、国体をボロボロにしてまでも、戦争を継続しようとしたのか完璧に理解することはできない。ただ、打開策が見いだせない戦争で、特攻作戦が希望に見えてしまったのは確かだろう。▲特攻隊員を美化する愛国者がいるが、美化することは彼らに対する慰霊とはならない。彼らのような国策の犠牲者を生まないことが、慰霊となる2025/08/28
ののまる
8
こういう体質の国だったんだってのを忘れたらいかんし、なぜ止められなかったのか、拡大していったのかをきちんと検証しつづけること、繰りかえさないことが、4500柱特攻隊員への本当の慰霊だと思う。2024/03/11
trazom
6
この本では、特攻が生まれた事情、特攻の戦果が終戦を遅らせ、新たな特攻攻撃の呼び水となった事情、陸軍と海軍それぞれの「特攻」の存在などの事実が明らかにされ、胸を抉られる思いがする。しかし、どう考えても、特攻の生みの親である大西瀧治郎中将が「体当たりまでしなければいけない状況を聞かされたら、天皇陛下は終戦をご聖断されると思った」と言ったという話など信じる気になれない。終戦間際の8月になっても「あと二千万人が死ぬまで戦えば、最後には日本が勝つ」と言うような人物を美化しては、国に殉じた若者が余りも可哀そうである。2016/09/22