出版社内容情報
墨を用いた抽象表現主義者として世界的に広く知られ、103歳となった今でも第一線で活躍する篠田桃紅氏。著書『一〇三歳になってわかったこと』がベストセラーとなった美術家による、作品&エッセイ集。
内容説明
104歳美術家、珠玉の作品集
目次
第1章 ふとしては
第2章 あいみての
第3章 おもえども
第4章 うつろい
若い人へ
著者等紹介
篠田桃紅[シノダトウコウ]
美術家。1913(大正2)年生まれ。墨を用いた抽象表現主義者として、世界的に広く知られており、数えで一〇四歳となった今も第一線で制作している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MI
104
篠田桃紅さんは、墨を用いた抽象画家。数えで104歳になっても第一線で制作している。 私はこういう線を描きたいと一本の線を引いた。現実にできた線は思った線と違う。人生も同じ。人はこういうふうに生きたいと思って、しかし現実のじんせいは違う。短いポエムと抽象画が描かれていて奥深い。「道草」という作品が特に良かった。「何が大切かということを常に探しながら生きていると、それは目標を決める生き方ではなくてとらわれた生き方だと思う。横にいいものがあったら、ちょっと寄った方がいいですよ。道草は大切です。」 2023/08/31
モリー
58
創作者として生きることへ憧れる私は、次の言葉に頷きました。「この世の中に生まれて、完璧な自由なんてありえない。市民である以上、国籍があるし、税金も納めなければいけないし、人とも合わせなければならない。ずいぶんいろんな制約がありますよ。この世は制約だらけです。だけど、心の自由は持っていたい。自分がつくるものだけは、誰にもなんの遠慮もなく、勝手につくりたい。」ただし、この自由には厳しさも伴う。「私の引いた一本の線は言い訳ができない。逃げ隠れも一切できない。どこにも、誰にも責任をなすりつけることができない。↓続2023/02/25
Mr.チャーリー
51
篠田桃紅さんの本を先日読み終えて、篠田さんが描いた絵を見たくなりました。近々展覧会が開かれる情報がない中、見つけたのが本書でした。各ページに篠田さんの墨絵が掲載されていて、そこに篠田さんの詩のような文章が印象的です。力まず、自然体で、現在もお元気で106歳の長い人生を生きてこられている篠田さんの心が伝わってきます。篠田さんの作品に触れられる良書だと思います。2019/07/27
元気
48
篠田桃紅さんが今年亡くなられていたことを先日知った。生き様と佇まいに惹きつけられた著名人の一人だった。『私の言葉なんて無意味です。百万の言葉より、一本の線が私の伝えたかったことです。』生涯を通して引かれた線から浮かぶのは、信念の道筋、生きる術、自分という存在の寄る辺なさの僅かな芯なのかもしれない。『あなたの人生も、一本の線。』僕は何を手にどんな線を引いていくのだろうか。2021/06/14
keroppi
38
103歳の現役芸術家。「103歳になってわかったこと」は、以前読んでいたが、この本は、図書館で偶然見つけた。篠田さんの絵に、詩のような文が添えられていて、篠田さんの生きてきた道、そして、今の心境が語られる。篠田さんの絵の線には、迷いがない。いい本に出会うことが出来た。2017/03/18