内容説明
プライドと自意識だけ人一倍高い無職同然の夫にようやく仕事のチャンスが舞い込み、働き者でしっかり者の恐妻、5歳の娘とともに4泊5日の四国旅へと向かうが…。結婚10年。「女房とのセックス」のハードルが、ここまで高くなろうとは。
著者等紹介
足立紳[アダチシン]
1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動をへてシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作「百円の恋」が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。ほかに第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品「佐知とマユ」、「お盆の弟」(2015年劇場公開)などがある。「百円の恋」と「お盆の弟」で第37回ヨコハマ映画祭脚本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
196
映画『百円の恋』の脚本家さんが書いた作品ですが、個人的にはキライじゃないですね。賛否両論見事?にわかれる作品だとは思いますが、不思議とイヤじゃなく、最後までイッキに読んでしまいました。ほぼ無職の脚本家であるダメな夫と何事にもキレキレな鬼嫁の珍道中で、ホントにダンナのダメっぷりは読んでいてかなり不愉快になりますが、不思議とどこか健気?で笑えてしまいます。かたや北斗晶さん並み?のスーパー鬼嫁はキレ方も凄まじく、ダンナとのやりとりもある意味痛快ですが、どこか可愛さがうかがえます。何も深く考えずに読める作品です。2016/11/27
いたろう
49
去年の年収が35万という売れないシナリオライターのダメ男振り(笑)。タイトルの「乳房に蚊」は、尾崎放哉の自由律俳句「すばらしい乳房だ蚊がいる」から取られたものだが、これは邪険にされながらも、妻にすがりついている男の姿か。この妻の徹底的な倹約振りとケチケチ家族旅行の様子が可笑しい。作者は、映画「百円の恋」の脚本家だが、「百円の恋」と違って、後半、主人公が何かに目覚めて、大きな変化があるというような盛り上がりはない。ダメ男はダメ男のまま。しかし、そこに憎めなさが。「いれものがない両手でうける」(尾崎放哉)2016/07/23
そうたそ
47
★★★★☆ 何が起こるでもないのんべんだらりとしたようなストーリーなのだが、不思議とその独特の空気感に引きこまれて読んでしまう。タイトルをシンプルに表した装丁もお見事。どこまでもダメ男な主人公がこうまでいくと逆に素晴らしく思えてくる。ただのダメ男なのに変に自意識とプライドが高いというから、とにかくややこしい。じゃあ妻はまともかというと、妻も妻で……という感じ。こんな夫婦の話を読ませられて何が楽しいのかとも思うが、最初から最後までずっと面白かった。主人公のようにはなりたくないが、でも健気ではあるな。2016/07/05
momogaga
46
題名と表紙に引かないで下さい(^0^)。内容はコメディ。ダメダメな夫婦の物語ですが、主人公には共感がもてました。2021/01/31
Koichiro Minematsu
43
けっこうlove love と言える。子どもを中心として、お互いの存在をはっきりさせようともがく、これぞ夫婦でしょう。ほんわか読めた。2020/03/20