内容説明
消費税増税のダメージで、今年度の実質GDPがマイナス成長になることも予想される日本経済。こんな状況でさらに消費税を引き上げたらどうなってしまうのか?真にとるべき政策は何なのか?無用な誤解や神話をすべて取り除き、まっさらな視点で読み解く、この国のこれから。
目次
はじめに 日本経済、本当のところ、どうなのか?
第1章 アベノミクス1年目で起きたこと
第2章 円安なのになぜ輸出が増えないのか
第3章 長期円高の大きな後遺症
第4章 消費税増税で沈む日本経済
第5章 増税を延期し、アベノミクスを再機動せよ
おわりに 経済失政は繰り返されるのか
付録 よくわかる!国際収支統計の仕組み
著者等紹介
片岡剛士[カタオカゴウシ]
1972年愛知県生まれ。慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程(計量経済学専攻)修了。三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員。専門は応用計量経済学、マクロ経済学。著書に『日本の「失われた20年」―デフレを超える経済政策に向けて』(藤原書店、第4回河上肇賞本賞受賞、第2回政策分析ネットワークシンクタンク賞受賞)等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
9
8%に消費税を増税する前と後で、日本経済は実際にどう変化したかを、様々な実証データを分析して検証を加える。また2014年9月時点までのアベノミクスの総括及び、再度消費税を上げた場合のシュミレーションを過去のデータ統計を元に割り出している。著者が特に言いたいところは太字ゴシックになっていて、理解しやすい。予定通り2015年10月に再び10%へと消費税率を引き上げれば、デフレを伴う長期停滞からの脱却を目指したアベノミクスは完全に瓦解する可能性が高いという。国民に直接関わる内容だけに、本書で勉強しておくといい。2015/01/02
GASHOW
5
消費税は、日本経済にとって大きなマイナスだ。税は、罰や抑止の意味がある。タバコが高いのは、環境を破壊している罰だからだ。日本人は消費税に弱い。物品税はややこしくなるからこれも良くない。消費税は大企業が最後に還付を受けるという下請けいじめの仕組みにもなっている。大企業を優遇するが、彼らは節税するので税収は少ない。小規模事業者をもっと増やす経済システムにするほうが、経済が成長する。事業者は経費で節税しようとするが、そこが消費になる。サラリーマンよりも事業主にかえてゆけばいいのだが、それを言う人は少ない。2018/03/19
N_K
5
ISバランス式や貿易赤字など理解できて良かった。アベノミクスに基本的に好意的だが、アベノミクスはパイを大きくする政策で、どう切り分けるか(再配分)には触れられていないの指摘には納得。近年では、製造業を中心に海外進出が進み、国内でサプラチェーンが完結しないため、下請けの工場まで好景気の恩恵を預かることが難しくなった。トリクルダウンは起こりにくいと思う。増税の影響もあり、「家計部門」を刺激する政策が必要だと私も思う。2015/01/27
まゆまゆ
4
2013年に行われた金融緩和は、確かにGDP増に寄与したことが明らかになった。ただしそれは株価上昇による資産効果からの高額財の消費増によるものであり、低所得者や若者の所得が増えたわけではなかった。景気回復の実感がないのはこのせい。雇用が増えても非正規のみで、賃金が増えたのも残業代とボーナスの増によるもので基本給は低下した実態を明らかにする。そんな状況の中で行われた消費税増税が人々に与えた影響は云わずもがな。2015/03/03
Kazuo Ebihara
3
著者は、三菱UFJ系研究所の主任研究員。 マクロ経済の分析を得意とする新進気鋭のエコノミストだ。 アベノミクスの「三本の矢」政策により、2013年の日本経済は、円安、株高が進み、デフレから脱却、景気は上向いた。 2014年4月の消費税上げ後、一転、想定を越える失速となったことを様々な統計データから検証。 消費税増税を延期し、アベノミクス政策を更に推し進めるべしと提言した。 で、アベノミクスで、誰が結局、得するの? 「安倍のみクスッ」って言われてるけど、「あっ、米のみクスッ」が本当のところじゃない。2015/01/12
-
- 電子書籍
- 風の大陸のナムグン・テス【タテヨミ】(…