内容説明
主張する患者様。無視できないお医者様。ばらまかれる診断書。処方されまくる薬。困惑する家族、職場、裁判所。こうして「うつ」は増殖する。あなたの周りの「うつ」、それホント?なんて疑うなんて酷い!…ですか?現役医師が禁断の問いに挑む。
目次
第1章 その人はうつ病かただの甘えか―「甘えの診断基準」
第2章 「私はうつです」はうつ病?―主観至上主義
第3章 「ストレスですね」にハズレなし―ストレス神話
第4章 どっちもカンタン、ニセ医者・ニセ患者―但し、禁断
第5章 裁かれるうつ病―裁判所はうつ病をどう診断したか
第6章 はたして、「うつ」は病気か甘えか
第7章 ストップ・ザ・ドクターストップ
終章 あなたは「うつ」をどう読み解くか―うつ病講義ノートより「症例JE」
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
39
非常に考えさせられる、奥深いリアルな内容の一冊でした。精神科医の頭の中というか、葛藤というか、うつに関して非常に悩ましい現実を見せられた感が、ハンパなく読んでいて伝わってきました。医者や裁判官や職場や当人やらそれぞれの考え方が、立場や状況によって微妙にすれ違うような、なんとも複雑極まりない現実が、突きつけられている感じがしました。自分でも、レビューで何書いてんだか分からなくなりそうですが、正直、短い言葉では伝えきれない、うつを取り巻く状況は複雑きわまりないものでした。読みごたえのある内容で良かったです。2017/12/23
ヒデミン@もも
35
タイトルと装丁に惹かれる。副題の今どきの「うつ」を読み解くミステリーとはなんぞや!?内容はいたって真面目で素人にもわかりやすく専門的。 症例も多くてわかりやすい。2014/08/30
青龍
12
図書館本。特に新しい知識を得ることはなかったけど、精神科の医師も、うつを理由に(本当に不調の場合も、サボりに近い場合も)休んだり、楽な仕事に変わっている人に対して、周囲は口にできない不満を募らせていると、承知している とわかった。診断書が出ている人にアレコレ言えないけど、自ら「病気だから」と言って、妖精さんと大差ない仕事をしている姿に、モヤモヤは消せない。2020/02/22
きむロワイヤル
8
「うつ」は病気か甘えかという身も蓋もない題名だが、表題ほどふざけた内容ではない。つまるところ、昔に比べて、「うつ」がカジュアルになってしまったために診断する方もされる方も気楽になってしまったため、境界付近の人たちも「うつ」の診断を受けてしまうこと、いったん診断されてしまうと社会的な保護下に置かれるちゃうということは問題であろう。これ、精神科医だから許されるが、それ以外だったら書けないだろうな・・・・2014/09/08
ワッピー
6
林先生のおススメ本。あまりにも普遍化・記号化した「うつ」を、医療側からのみならず、司法側、そして本人のストレス(?)状況から突き合わせてみた時、結局「よくわからん」ということになり、医療側としては病気である可能性がゼロでなければ「うつ」周辺と診断する。企業側からするとあまり救いにならない気がしますが、一方で「うつ」は個別案件であり、画一的な対応をする必要もないとも思えます。矢面に立つ人は大変だけど、社員の自殺を避けることを最低ラインとして、出てくる分岐点で立止まり、その都度決断を下す他ないのでしょうね。2014/11/03
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