完璧な母親

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  • サイズ B6判/ページ数 286p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784344024731
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

兄が死んで、私が生まれた。一歳の誕生日。ケーキには八本のろうそくが灯されていた。幼くして死んだ兄の代わりに産み直された妹は、母の絶大なる愛情を注がれ空洞として生き続けている。やがて兄の死の秘密を知るもうひとつの家族の告白が波琉子を揺さぶる―「お母さんはいいお母さん?」

著者等紹介

まさきとしか[マサキトシカ]
1965年東京都生まれ。札幌育ち。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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utinopoti27

182
不慮の事故で死んだ長男の身代わりとして産んだ長女に、同じような名前を付けて歪んだ愛情を注ぐ知可子。怯える夫を尻目に、『完璧な母親』を目指し続ける彼女のもとにある日届いた謎のメッセージ「あなたの子供は幸せでしょうか」・・。冒頭の示唆や、伏線と思われるいくつかのエピソードなどから、湊かなえ調のイヤミスかと思っていたら、その後の展開で推測は見事に外される。中盤以降は何が言いたいのか見えなくなり、序盤の伏線らしきものも満足に回収されないまま終了。恩田陸に似た雰囲気もあるが、そこまで格調高くはない。不思議な作風だ。2021/07/13

風眠

136
完璧な家庭のいいお母さん、けれど死んだ兄の身代わりとして育てられた娘。姉だけを可愛がる母親から、激しい虐待を受け続けてきた息子。どちらの娘も、どちらの息子も、母親から愛されなかったという点で同じで、どちらも重大な傷を負っている。ある母親は「ねぇ、私はいいお母さん?」と繰り返す。そしてまたある母親は「ごめんなさい赦して」と呪文のように繰り返す。ほんの少し掛け違えたボタンが強迫観念を呼び覚ます。不幸な偶然が重なり、人生を決定されてしまった人達。あの日、6歳の男の子が死んでいなければ世界は違っていただろうか。2014/01/31

taiko

89
『「八日目の蝉」「WOMEN」に泣いた人はまた涙する! 母の愛の物語』このフレーズに惹かれ手に取った本。思っていたのとは、かなり違ってました。感動はなかったです。前半の波琉子の生い立ちの章には、グイグイ引き込まれ、夢中になりました。母の狂気、娘の不幸に、胸が苦しくなるほど。三組の母子が微妙に絡み合い、つながっていくのですが、なんとも不完全燃焼。母の愛とは思えず、歪んだ感情に嫌な印象しか残りませんでした。最初から、歪んだ母の思いを書いた話と分かっていたら、違った読後感を持ったかも。残念です。2015/12/27

ゆきねこ

77
ふた家族の物語。序章で既に、悲劇の予感がする。何度も流産を繰り返し、やっと授かった息子を事故で失い正気を失ったまま次に生まれた娘を育てる「完璧な母親」。今の言葉で言うと、イタイ。娘の誕生日と故・息子の誕生日にブレゼントを準備し、「兄がいたからあなたがうまれた」と言い続ける。娘が異常に育つのも納得。一方は、新付箋者に勤めるエリート男性。母親が赤鬼だったと言う。虐待されて育った。姉が生まれ代わりと言う。こちらも目も当てられないほど異常。ふた家族の運命は根っこで繋がり、謎が明らかになる。ミステリー?2020/08/11

あつひめ

76
生まれ変わり…と思いながら読んでいたら、またしても自分も生まれ変わりだと言う女が出てくる。読みながら今の気持ちが作者の意図に沿っているか反しているかわからず迷いながら読み進めた。ただ、母親というものの起伏のある感情には辟易した。これを愛と言うのだろうか?子供のためではなく自分のためにいい母親になろうとしているのか?と。愛と憎しみは紙一重。親の愛情ほど重くて苦くて息苦しいものはない。自分も母親となり、心配と言う名の愛を押し付けているかもしれない。親のようになりたくないと思いながら同じ道を歩んでいるのかも。2017/02/08

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