内容説明
伊藤に長い間片思いするが、粗末に扱われ続けるデパート勤務の美人。伊藤からストーカーまがいの好意を持たれる、バイトに身の入らないフリーター。伊藤の童貞を奪う、男を切らしたことのないデパ地下ケーキ店の副店長。処女は重いと伊藤にふられ、自暴自棄になって初体験を済ませようとする大学職員。伊藤が熱心に通いつめる勉強会を開く、すでに売れなくなった33歳の脚本家。こんな男のどこがいいのか。5人の女性を振り回す、伊藤誠二郎。顔はいいが、自意識過剰、無神経すぎる男に彼女たちが抱いてしまう恋心、苛立ち、嫉妬、執着、優越感。ほろ苦く痛がゆい著者会心の成長小説。
著者等紹介
柚木麻子[ユズキアサコ]
1981年東京都生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒業。「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞。2010年、受賞作を含む連作集『終点のあの子』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
547
実家が金持ちでイケメンだけど、自意識過剰でめんどくさい伊藤くん。そんな彼の周りの5人の女の子の視点からの物語。女性から好かれるのに、男の友達はおらず、人望もない。傷つく事を怖れて、何も決めようとしない、そんなダメダメで痛い奴の伊藤くんを取り巻く女性達も結構、ドロドロでした。自分を好きになり、ぐいぐい押されると引いてしまい、好きになった女性からはそっぽ向かれる伊藤くんは、かわいそうだけど、自業自得。自分の近くに伊藤くんみたいな男がいると、かなり鬱陶しい。軽い内容かと思いきや、ドヨーンとした読後感でした。 2018/07/22
ダイ@2019.11.2~一時休止
424
伊藤くんをめぐる5人の女の連作短編集。帯にあるようにこんな男のどこがいいのかが全然理解できない。2014/11/20
風眠
420
様々な女の視点から見た「伊藤くん」。彼はありとあらゆる形で「クズ」を体現している男だ。伊藤に雑に扱われる都合のいい女・A、伊藤からストーカーされる塾のバイト・B、伊藤の童貞を奪ったデパ地下ケーキ屋副店長・C、処女は重いと伊藤にフられ、誰でもいいから済ませようと必死な大学職員・D、そして伊藤が通う勉強会を主宰する、売れない脚本家・E。嫌だとか何とか言いながらも伊藤に執着するのは、彼の中に自分が見えるから、本当の自分を認めるのが怖いから。何だか痛いところ突かれちゃったなー、って思わず我が身を振り返る連作小説。2014/02/10
hiro
251
柚木作品5冊目。少しずつ重なっている5編の連作短編集。直木賞候補になったということで、いつも以上に期待して読み出した。しかし、残念ながら、伊藤くんがつかみどころがなく、また、まったく違う個性に設定された各短編のヒロイン、A島原智美、B野瀬修子、C相田聡子、D神保実希が、読み終えてみると、みな似たような4人に思えた。最後の売れなくなった33歳の脚本家、E矢崎莉桜のぐたぐた感は、耳掃除動画を観ている途中のように、嫌なものを観ているようだったが、そのまま終わらず最後に少し変化がみえ、5編の中で一番印象に残った。2014/06/09
タックン
231
(ランチのアッコちゃん)予約待ちしてる間に直木賞の候補になったので予約して借りた本。朝井リョウさんが次は柚木さんて勧めてたから読んだけど何だこりゃあが第一印象。イケメンで中身がなくて傷つきたくない症候群の伊藤君も美人系でそれなりに魅力的だけど伊藤君にこだわって振り回されてしまう女性たちにもムカついたな。まあ、朝井さんの(何者?)と同じように現在の世情を上手く現した小説ではあるけどこんな若者たちばっかだとどうなってくか不安だなあ・・・・。いずれにせよ読む一読の価値はあるかな。2013/12/26
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