内容説明
身体は大人、精神は子供のままの人たちが生活するグループホーム“ひまわり荘”。そこに、知的障がいの娘・マコを連れた元人気漫画家の愛情いっぽんが、住み込みのスタッフとしてやってきた。30歳になっても天使のように愛らしいマコ。マコを産んですぐに亡くなった最愛の妻の分まで男手ひとつで育ててきたいっぽんは、ひまわり荘の仲間と触れ合い、かつてなかった心休まる暮らしを得た。だがそんな時、いっぽんの身体に見つかった病気。マコを遺して逝くわけにはいかない。マコの将来を案じるいっぽんの、誰にも言えない苦悩の日々が始まった…。
著者等紹介
宅間孝行[タクマタカユキ]
1970年7月17日、東京都出身。97年劇団「東京セレソン」を旗揚げ。2001年「東京セレソンデラックス」に改名し、主宰・脚本・演出・主演を務め、12年をもって解散。テレビドラマ「つばさ」、「新選組血風録」(ともにNHK)、「都市伝説の女」(EX)への出演や、「花より男子」シリーズ(TBS)、ギャラクシー賞、マイベストTV賞グランプリ受賞作品の「歌姫」(TBS)、映画「ヒートアイランド」の脚本、「間違われちゃった男」(CX)の脚本・演出など、幅広く活動。また08年に公開された映画「同窓会」では初監督・脚本・主演を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Maki
22
神様に選ばれた人たちはまっすぐにまっすぐに天に向かってぐんぐんとのびてゆく植物のようだ。雲がかかり雨が降らないと下をむきうなだれる。自ら「たすけて」と言えない。太陽(きみ)と水(愛)と栄養(くちづけ)で生きていた。グッバイ・マイ・ラブ。優しい物語をありがとう。2019/01/19
スノーマン
21
かなり前に観た映画なのに、衝撃と温もりが混ざり合った複雑な思いは今も消えずに残っている。小説では映画では説明のなかった部分も読め、その背景が更に切なく、ラストの親子二人にまた涙が溢れて来てしまった。障がい者を囲む現実の問題には答えはすぐには出ず、神様に選ばれたうーやん達の幸せが日々続くためにどうしたら良いのかを一人一人考え続けるしかない。2018/11/02
あじ
21
障がい者グループホームの面々が主役なのか、いっぽんとマコ父娘が主役なのかはっきりしない。ラストがあぁなるのであれば前半部分で、もっと絡めてしっかり書かなければならない。また個々が持つ障がいの括りついては曖昧にぼかされ、省略された描写で済まされてしまっている。一般の人が外から"障がい"を見た目線と、変わらないのではないかと私は嫌悪を抱いた。2013/10/06
sachidoremi
20
幸せって何が幸せなのか、何が正解なのか、この作品を読んで、わからなくなりそう。いっぽんのマコちゃんに対する愛情もマコちゃんの気持ちも律子さんの気持ちもひまわり荘のみんなの想いも、全部考えてみるとますます哀しくなる、せつなくなる、やるせない気持ちとどうしようもない思いがぐるぐる終わりの無い迷路に入ったみたいに途方にくれてしまう。その状況にならないとわからないけど、わたしが、いっぽんなら、同じことをしたかもしれない気もする。だからこそ、考えることすら怖いしツラい。でも目をそらせたらダメなんだよね。2019/10/13
金平糖
19
今年は現在68本の映画を見たが、絶対に見たい!見てよかった!と思ったのは、断トツに「レ・ミゼラブル」と本作。鑑賞後、小説も読みたくなった。同じ経緯で読んだのは、西川美和の「ゆれる」、小林政広 の「春との旅」だが、三冊共に言えることは、映画の方が上だということ。いくら多才な方でも小説家には敵わない。映画のうーやんは劇団同様、宅間さんが演じられただけに惹き込まれた。マコの貫地谷さん、いっぽんの竹中さん、智の田畑さんも(あと、南も!)素晴らしく、役者の演技力に比べ、筆力が劣った感。知的障害者理解の入口となった。2013/11/19