内容説明
「剣鞘摩り替え」犯人の疑惑に甘んじる冬木を励まし、併せて自らをも鼓舞しながら、東堂太郎は、軍規に定められた兵の正当な権利である「不条理上申」「意見具申」を実行する。一九四二(昭和十七)年三月十八日、教育の過半を既に終えた補充兵たちは、高浜演習砲台において休養のひとときを得る。穏やかな早春の午後にいつしかまどろんでいた東堂は、異様な気配を感じて目覚める。広っぱの一角において、第一内務班の“ガンスイ(のろま)”末永が、仁多班長らによって嬲り者にされていた。近隣の民家の軒先からイカの干物を失敬したにすぎない末永に対し、それを「陸軍刑法」上の重大犯罪と咎め立てた上官たちは、ついに彼に「死刑」判決を告げる。あまりにも滑稽かつ残酷極まりない光景を目前に、東堂と冬木とは、期せずして時を同じく立ち上がる…。巨編、ここに完結。
著者等紹介
大西巨人[オオニシキョジン]
小説家、批評家。1919年福岡県生まれ。1949年、『精神の氷点』でデビュー。執筆に約二五年をかけた大作『神聖喜劇』をはじめ、『三位一体の神話』『春秋の花』『深淵』『縮図・インコ道理教』など著書多数。近年は、インターネット・サイトでの作品公開も行なっている
のぞゑのぶひさ[ノゾエノブヒサ]
漫画家。1949年佐賀県生まれ。三歳の頃、関西へ移り、以後ほとんどの期間を京都で育つ。大阪で色々な職種、職業を経験。その後、体を壊し、「自分に出来る仕事は絵を描くことしか残っていない」と決心。東京で一人、投稿生活を始める。四年目に『木金堂主人』でデビュー
岩田和博[イワタカズヒロ]
演出家、プロデューサー。1947年京都府生まれ。大学卒業後、サラリーマンとなるが、続かず三カ月で独立。その後、ファッション・ショー演出家として実績を重ね、現在では、地元・京都での数々の記念行事・催事をはじめ、国内外における様々なイベントを手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
今ごろになって『虎に翼』を観ているおじさん・寺
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