内容説明
さらなるテロの危険に日本政府は福岡を封鎖する。逮捕、拷問、粛清、白昼の銃撃戦、被占領者の苦悩と危険な恋。北朝鮮の後続部隊12万人が博多港に接近するなか、ある若者たちが決死の抵抗を開始した。現実を凌駕する想像力と、精密な描写で迫る聖戦のすべて。
著者等紹介
村上龍[ムラカミリュウ]
1952年長崎県佐世保市生まれ。武蔵野美術大学中退。大学在学中の76年、「限りなく透明に近いブルー」で群像新人賞、芥川賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
98
☆5.0 上下巻合わせれば900ページ以上に及ぶ長編にかなり手こずらされたが下巻、「phase two 12 美しい時間」の 少年たちと北朝鮮軍との戦闘場面にさしかったところからは ハラハラドキドキの緊迫感に、グイグイのめり込まされての一気読みでした。 少年たちの生き残りのその後が描かれた エピソード3「姪浜」がほのぼのとして 映画のエンディングロールに挿し込まれるひとコマのエピソードのようでお洒落です。2021/01/31
kishikan
55
上下巻合わせて900頁を超える大作。日本国政府、北朝鮮高麗遠征軍、NHK、イシハラグループなどの場面が、息つく間もないほどに急展開をみせ、興奮がなかなか冷めない。特に下巻のイシハラグループと暴走族の占領軍への突入シーンは、グーグルマップ・アースと見比べながら読むと、アドレナリン全開になる。戦闘シーンもまるで映像のような迫力。そして、その合間に今の社会を的確に皮肉った絶妙な言い回しがにくい。とにかく、巻末の参考文献の膨大さにもあるように、村上龍の守備範囲はすごい!読後、半島を出よというタイトルが心に沁みる。2015/12/01
ロドリゲス
32
膨大な情報と緻密な描写で、現実なのか?と思わせるほどでした。北朝鮮が抱えている問題から、それが日本を含む東アジアに与える影響、米国頼りの腐った日本政府。まさに現在の日本を象徴しています。 テロリストが侵略してきて最後には制圧しました、という単純なものではなく愛情・友情・絆等が大事だよ、とも言っていません。 今作品では自分1人でも生き残れ、自立しろ、と訴えてます。ちょっとアウトサイダーな所に共感が持てました。 ★★★★☆ 2018/09/12
akira
29
まちライブラリー府立大本。 小説ながらディテールがきめ細かく、リアリティを感じさせる一冊だった。新型コロナウィルスによる都市封鎖、国民全体に広がる自粛要請は、なお一層物語に近しい雰囲気を想像させる。 仕事人としてメンバーへの信頼性とは何か?若い頃は心を開き全てを語り合えることを理想と考えていた。ビジネスがシビアになるにつれ、役割と責任においてはそれが全てではないと気づく。ただ、若い人のそういったものもチームには必要かなと。 「その人が自分から話そうとしないことを聞くな」 2020/04/05
ゴールドまであと953日
25
面白い本だった。北朝鮮軍の優秀な兵士が反乱軍と称して、日本に上陸、たいして抵抗を受けることもないまま、北朝鮮からの反乱軍の大軍を受け入れる準備、それに反撃する反社会集団が北朝鮮兵士の野営地やホテルを倒壊させる。1000ページの極厚の小説だ。飽きせぬ、しかも感心するのは資料を多く読み、リアルで現実的な北朝鮮の在り方を描いている。まるで韓国の戦争映画を小説で読んでいるみたいだ。韓国の戦争映画大好きで、「ブラザーフォード」、「シュリ」、「長沙里」などとも通じるところがある。面白い。村上龍の作品も初めて。2022/01/30