内容説明
ぼくは急いで書かなければならない。ぼくと彼女の愛についての文章を。純粋で真摯な愛と魂の奇跡。もっとも気高く美しい者たちの恋愛小説。
著者等紹介
古川日出男[フルカワヒデオ]
1966年福島県生まれ。早稲田大学第一文学部中退。98年、『13』(小社刊)でデビュー。他の作品に『沈黙』があり本作が第3作となる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mii22.
48
【猫と読書】再読ですが、やっぱり不思議な物語。表紙のアビシニアンが素敵過ぎて、いつもいつも眺めてる。時には猫を撫でるように鼻の上の毛を撫でてみる。「たぶん、わたしはひとりの猫であり、一匹の人間だ。」この一文が大好きだ。何度でも読みたくなる一冊。2016/02/22
あじ
45
べつの宇宙、あるいはこの宇宙で。絶えず死に、絶えず再生する。月の満ち欠けに呼応しバイオリズムで存在する、超越した生命体なのか。「生き延びるため」あなたの“におい”を記憶に引き継いでいく。語り部の姿を探し追いかけるうちに、彼らの文字が消滅した。やさしいのにどことなくせつない。砂浜に書いた文字が波にさらわれていく残響を残して。【購入本】2018/11/14
hit4papa
33
著者の初期の頃の作品(長編第三作)で、第二作の「沈黙」と同様、文学志向の強い作品です。飼い猫を処分された事を契機に、家を出て公園の猫たちと暮らす少女の物語。少女は、猫と同化し、文字を失ってしまうのですが、これが何を表象しているかを考え始めると疲れます。やがて少女は、ひとりの女性と暮らし、働き始めるという展開です。何が書かれているかはわかる、でも、何を意味しているかは難解という、ちゃんと読まなければいけない系の作品。なお、猫の解放のため保健所を襲撃した「沈黙」の主人公が、本作品の少女と接点をもっています。2018/08/01
mii22.
31
表紙買いの本です。著者や内容のことは知らずに読みましたが、不思議な読書体験でした。喪失と再生の物語でしょうか?その他にも、宇宙、夜の匂い、肌の温もり、色々なものを感じ、イメージさせる物語でした。いつしか自分が猫目線になり、しなやかで強靭なからだと柔かな体毛を持ち、いっぴきの人間から、ひとりの猫へと変化して夜の街を駆け抜けます。やがて心地いい場所を見つけて丸くなり眠る..そんな感じ..。すべてはアビシニアンという宇宙のなかにあり、その温もりと愛に包まれる。2015/06/24
夏乃
10
お気に入りさんに教えて頂いての初読み作家さん。冒頭の少女がたった1人、愛猫アビシニアンを探して電車に揺られている情景がとても神聖なものに感じられました。そしてアビシニアンとの濃密で大切な生活。その第一幕と言える部分だけで胸がぎゅっと切なくなりました。少ない文字数では語り尽くせないですが、とても素敵な本を知ることが出来て幸せに思いました。2014/12/23
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