感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
77
在来種・地域固有種がなくなりつつある。今、畑で作られている野菜は違った両親を人工的に交配させてつくるF1品種とよばれる種からできている。F1品種は作りやすく見た目が良い。本書は昔からその土地に伝わった作物を作り、種を採り、食べて続けてきた農家さんを紹介している。興味深いのは、そうした農家さんが高邁な理想に突き動かされて在来種を作り続けているのではないこと。ただおいしいから作っていらっしゃるのだ。作りやすさや見た目でなく、その作物の持つ味という本当の価値が分かる人によって種が受け継がれているのである。2016/05/03