内容説明
戦後出版界に“十二章ブーム”を巻き起こした本書は、伊藤整の卓抜な批評眼が最も鋭く示されたエッセイとして名高い名著。
目次
結婚と幸福
女性の姿形
哀れなる男性
妻は世間の代表者
五十歩と百歩
愛とは何か
正義と愛情
苦悩について
情緒について
生命の意識
家庭とは何か
この世は生きるに値するか
著者等紹介
伊藤整[イトウセイ]
1905年(明治38)北海道生まれ。本名ひとし。小説家、詩人、文芸評論家、翻訳家。叙情派詩人として出発したが、その後小説・評論に重心を移す。旺盛な作家活動を展開し、その作品は川端康成に推奨される。ジェイムズ・ジョイスらの影響を受け「新心理主義」を提言。私小説的文学の理論化をめざし、評論など多方面で独創的な多くの仕事を残す。戦後、その翻訳で「チャタレイ裁判」が起こり戦後の文学史上で、性の表現をめぐる問題提起となり世相を揺るがした。日本ペンクラブ副会長、日本近代文学館理事長など歴任する。日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひよふぜい
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中島京子 彼女に関する十二章を読んで元ネタを参照したくなってポチった。70年前とは思えぬ潔い人生論と、往時は戦争が地続きだったんだなと思わせる描写も。 自分の本能と欲望と執着とを生かし、他人のそれも尊重したらいいという一文が刺さった。道徳や秩序なんてものはゴツゴウによってできてるんだもの。 2024/03/01
必殺!パート仕事人
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昭和29年刊の復刻だそうです。我を出し過ぎてもいけないし、全く自分を抑えても良くない。理性によってバランスをとることが大事なのでは?というのは、その時代にしたら新しい考え方だったと思います。文体が難しくてよくわからなかったですけれども。「理性的に生きること、本能的に生きること、両方やれるように自分を作っていくことです」2021/09/15