限界自治 夕張検証―女性記者が追った600日

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  • サイズ B6判/ページ数 319p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784340401215
  • NDC分類 349.211
  • Cコード C0036

内容説明

「市民10人のうち4人が高齢者、中学生以下の若者は1人いるかいないかだ」「2007年9月19日に発表された全国の基準地価で、夕張市が商業地で全国1位(17.4%)、住宅地で2位(14.3%)の下落率となった」「歳出(サービス)は全国最低、歳入(住民負担)は最高レベルに」―「限界自治」の過酷な現実にさらされる市民。果たして計画どおりの再建はなるのか。地方都市共通の課題をもあぶり出した追跡ドキュメント。

目次

序章 抜かれから始まった(締め切り時間はついに過ぎた;新人記者北海道を走る ほか)
第1章 ついに財政再建団体へ(「何やっていたんだ」;ヤミ起債「書くのをやめてほしい」 ほか)
第2章 破綻の構図(破綻は閉山処理から始まった;カリマス市長の暴走観光行政 ほか)
第3章 再生へのもがき(再建元年不安のスタート;閉塞感の裏返し?羽柴旋風 ほか)
終章 夕張に「春」が訪れるまで(37人に聞いた18年後の夕張)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

26
財政再建団体となった北海道夕張市。読売新聞の女性記者が夕張市に住を構え市民や関係者のインタビューを通して何故財政再建団体にならなければいけなかったのかを検証したルポ。現在日本各地に企業城下町、原発に依存する町、観光で成り立っている町が多くあるが必要性のないハコモノ行政の結果、赤字自治体に転落する市町村も多いのではないかと感じた。財政再建団体とは具体的にどういうことかも知ることが出来た。 2014/07/16

とりもり

3
積ん読本消化シリーズ。夕張市役所には破綻から数年後に行ったことがあるが、昼間でも薄暗い屋内、空席だらけの執務室など、まさに破綻した組織を絵に描いたような光景だった。その記憶を呼び覚ます本書の内容は、財政難にあえぐ他の自治体にとっても他人事ではないだろう。観光に湯水のようにお金を使ったこと以外は、北海道の旧産炭地はほとんど一緒だし。しかし、借金を返済できても、その間に住民がいなくなれば地域再生にならない。その意味で、夕張の財政再建団体化は失敗という他ない。近未来の日本の縮図がここにはあると思う。★★★★☆2021/02/25

どりん

3
限界を超えて、自治体は壊死した。お上でもでも倒産するのだということを、夕張のケースは教えてくれた。この点において、記者氏のいうように「戦後に大きな足跡を残す」事件だったと言えよう。今、「官」への不振と怨嗟が社会に渦巻いている。夕張の人々の「長い物には巻かれろ、の人任せ主義」が、この状況の大きな原因であるとするならば、決して他人事ではない。困難な環境のもと、歩みを始めた夕張の成長を見つめる事は、何かの答えを得ることになるのではなかろうか。2008/05/31

あとぅーし

2
夕張で起きたことは、日本中の田舎町でこれから起こりうることなんだろうなと思う。 箱もの行政は一時的なドーピングにはなるかもしれないが、結局身の丈に合った事でないと、つけは周ってくる。 人口が減って、仕事もないような田舎町が生き残るのにはどうしたら良いのか? 僕が思うことで言うと、とりあえず大人たちが楽しそうじゃないとダメかな思う。大人たちがいっつもつまんなさそうな顔している町には住みたくない。 これから日本で消滅する田舎はたくさん出てくるだろうし、夕張がどう生き残るか興味深いです。2020/09/12

たまちゃん

2
下手な小説よりも小説だったりする現実。「見せしめのための破綻」と言われる所以がわかった。住民が「炭鉱に、そして、市長に頼り過ぎてた」と言う言葉が重い。そして市長の「住民への情報開示がなかった」と言う言葉も。やはり決定した情報開示と市民参加、これが生き残る道なのだと思う。当初の計画では10年で返済できると言われた負債も10年経っても未だ多額の負債が残っているのだ。この現実にがんばれとは言えないなあと思う。2016/05/09

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