出版社内容情報
トラウマや障がい、国籍の違いなどから、生きづらさを感じる小学5年生の健人、杏、ダニエル。生きづらさを感じる三人が、互いの弱みを補い合いながら友情をはぐくみ、新たな一歩を踏み出していく物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
77
幼い頃のトラウマではじめの一歩が踏み出せない健人と、クォーターで足に障害があるため引っ込み思案になった杏。幼馴染で毎朝一緒に登校する二人のクラスに、運動が得意だが日本語が苦手で乱暴者の黒人とのハーフのケントが編入してきた。小5の子どもたちの1年間、見た目の違いや偏見を乗り越えて清々しい成長を遂げる彼らの姿は心に響く。小学校高学年以上、大人までお薦めです。2023/02/25
昼夜
16
自己紹介の時に出てくるラベルに人は帰属意識を持っている。そこに共通点があれば仲間意識をもって違うなら疎外感を感じる。同じところがあるから安心だなだけじゃなく違うところが自分と違っていいなぁとこれからの子どもたちにはこの本の様な交流をしていく中で多様性を頭でっかちではなく心で学んでいけるようになって欲しいなぁと思いました。2022/12/28
遠い日
4
健人、杏、ダニエルのトライアングル。ぎくしゃくと繋がり、おずおずと近づいていく。トラウマに縛られる健人。クオーターであり、足の障がいのことで萎縮している杏。肌の色でいじめを受け、それに反発するダニエル。お互いのできないことを補い合う形で、心を開いていくようすにじんわりと感銘を受けました。誰でも失敗は怖いし、嫌われたり、からかわれたり、いじめられたりはしたくない。どうすれば頑なな心をほぐし、自由にふるまえるのか。始めの一歩は重い。でも踏みだそうとする気持ちがもう、始めの一歩なのだと言えるのです。 2022/11/14
白糸雅樹
2
描写がとてもていねいな作品だなと感じました。小学校五年生三人を主人公にした、友情と成長の物語。他のクラスから転入になった生徒を、クラスに紹介する時、先生の声が少しふるえるという箇所など、私たちが持っている微妙な差別感情に気付かされます。他にも、読むたびに、感動すると同時に、自らを省みさせられる描写が随所にありました。 人により背後に持っている文化が異なること、その違いを尊重すること。友だちの成長に刺激を受けて、挑戦を恐れないこと。大人の見守りが必要な場面では大人がサポートすること。 子どもに読ませたい本。2022/11/11
ぷりん
0
過去におった傷を乗り越えるには、勇気を出せる環境が大事かなと思う。プレッシャーじゃなく、かといって放置でもない暖かい励ましだったり見守りだったり…。そんな勇気を与え合えるような関係性って素敵だなと思いました。2023/04/16